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手取りの金額はなぜこんなに少なくなる?

天引きされる項目を知ろう

2019/12/26

天引きされる項目を知ろう

社会人になって給与明細書をもらうようになると、さまざまな項目のお金が天引きされていて、額面の金額と手取りの金額が大きく違うことに違和感を持っている人も新社会人の中にはいるのではないだろうか。せっかく納めているお金が、どういう意味を持ちどのような用途に使われているのかは知っておきたいところである。

■給与明細の見方を知ろう

まず表1に一般的な給与明細の項目を載せている。会社によってフォーマットなどに若干の違いはあるが、大きく分けて「勤怠」「支給」「控除」の3つがあるのは共通だ。
表1.給与明細書の例
まずは「勤怠」「支給」「控除」の基本的な内容をおさらいしておこう。
「勤怠」・・・給与計算の元になる勤務状況の情報
「支給」・・・基本給と各種手当てを足した、会社からもらえる金額
「控除」・・・支給額から天引きされる項目と金額。「社会保険」「税金」「その他」がある


今回見ていくのは、この3項目の中の「控除」の項目だ。財形貯蓄や社宅費は分かりやすいが、他の健康保険や厚生年金・雇用保険などの社会保険料、所得税や住民税などは何のために払っているのだろうか。

■所得税と住民税は公共のサービスに使われる税金

「控除」の項目のうち、所得税は個人の所得(収入から経費などを引いたもの)にかかる税金で、国に納めるものである。この所得税は所得が増えるほど税率が段階的に高くなり(累進税率)、支払い能力に応じて税を負担する仕組みになっているのが特徴だ。住民税は住んでいる(会社がある)都道府県と市区町村に納める税金である。
前年の所得に応じて負担する金額(所得割)と、住民が平等に負担する金額(均等割)から成り立っている。これらは、それぞれの国または地方自治体が提供する公共のサービスのために使われているお金だ。しかし身近なサービスにはどういうものがあり、また税金を払う人がいなかったらどうなるだろうか。


上下水道は公共サービスによって整備されており、道路の整備も税金で行われている。また警察や消防、ゴミ処理費用などの費用は主に住民税から出ている。もしこれらがなければ、犯罪が起こっても取り締まる人がいなくなるし、火災や災害が起こったときの消防活動や救助活動に地域差が出たり有料になったりするかもしれない。ゴミ収集車が来なければ街がゴミだらけになるのも想像できるだろう。このように給与から天引きされている税金はさまざまな用途に使われているのである。

■社会保険料は自分や家族の生活の安定を図るための保険制度

●健康保険と雇用保険がないとどうなる?
皆さんも病院に行ったことはあると思うが、もし健康保険料を払っていないと医療費は100%自己負担となり非常に高額になる。「虫歯の治療で2万円」「虫垂炎の手術が50万円」などといわれると、気軽に病院を利用できなくなるだろう。また雇用保険は失業したとき、新しい職場が見つかるまでの生活費を受け取れたり、専門的な知識を得るための教育費が支給されたりする。


●厚生年金保険は老後の年金だけではない
厚生年金保険は老後のためのお金が引かれていると思っている人は多い。もちろん、それも厚生年金保険の大きな役割の一つだが、他にも大切な役割がある。それが「障害厚生年金」と「遺族厚生年金」だ。障害厚生年金とは、病気やケガなどで一定の障害状態になってしまった場合、その程度によって一時金が出たり、年金が受給できたりする制度だ。


遺族厚生年金は、厚生年金保険を払い込んでいる本人に万が一のことがあった場合、配偶者や子ども、父母など一定の要件を満たしているものにお金が支払われる。厚生年金保険には、このような本人以外の人のための保障も含まれているのである。

■天引きは納税や保険料納付を代わりに行ってくれる便利な仕組み

給与から控除されるお金についてマイナスのイメージがあるかもしれないが、一つひとつの控除項目を見ていけば、どれも今の生活を支える重要なお金と言えるだろう。


本来は一人ひとりが確定申告後に自分で納めるべきお金だが、これらの保険料や税金などを個人に代わって納めるべきところにしっかりと納めてくれる便利な仕組みが、給与からの天引きなのである。

(提供元:ZUU四国アライアンス

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