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太古のロマンを未来へとつなぐ!
90周年を迎えてもなお進化を続ける龍河洞

2021/8/4

■「日本三大鍾乳洞」高知の龍河洞

高知家の○○ 太古のロマンを未来へとつなぐ!90周年を迎えてもなお進化を続ける龍河洞

高知市中心部から車で約40分。龍河洞は香美市土佐山田町にある。

国の天然記念物であり、歴史的にも重要な意味を持つことから史跡となっている、龍河洞。

今年は、龍河洞が公開されてから90年の節目にあたる年だ。

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龍河洞に行ったことがないという方はもちろん、高知にお住まいで「一度だけ行ったことがある」「子どものころ遠足で行った」という方に、龍河洞の進化をお伝えしたい。

■いざ、太古のロマンを感じる鍾乳洞の中へ

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龍河洞には3つのコースがある。

まず一つ目が、遊歩道を歩いて巡る「観光コース」。龍河洞に行ったことがある人のほとんどが、こちらのコースを体験しているのではないだろうか。90周年にあたり、照明や設備をリニューアルしていて、以前とは違った龍河洞の魅力を体験できるようになっている。

二つ目が、探検しているようなドキドキワクワクが楽しめる「冒険コース」。そして最後が、今年公開された「西本洞コース」。地下水が流れる中を進んでいくため、「水の洞窟」と呼ばれるコースだ。

今回は、リニューアルして魅力が増したという「観光コース」を歩いてみた。

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観光コースは30分ほどの時間をかけて、このような遊歩道を進んでいく。

途中、岩と岩の間をすり抜けなければならないような細い場所もあり、観光コースでありながら鍾乳洞の中を冒険しているような気分になる。

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手が届きそうなほど間近に、迫力のある鍾乳石を見ることができる。

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鍾乳洞とは、石灰岩の間に雨水が染み込むことで炭酸カルシウムが溶け出し、内部が空洞になることでできる洞窟のこと。

何万年、何十万年という歳月をかけて、今の龍河洞ができているのだ。そして今なお、洞窟の内部を雨水が滴り、長い時間をかけて形を変化させている。

龍河洞の成り立ちやその変化にロマンを感じながら歩みを進めていると、途中いくつものひらけた場所に遭遇する。

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迫力ある滝や、

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美しくライトアップされた鍾乳石。

ここは別の惑星か?と思わず錯覚するような鍾乳石の造形に、進むほど不思議な感覚になってくる。

そして、龍河洞が全国的に珍しいのが、弥生時代の穴居生活の跡が見られるという点。

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「神の壺」と呼ばれる、こちらの壺。

当時龍河洞に住んでいた人々が実際に使用していたとみられる壺が、鍾乳石に包まれている状態を見ることができる。

歴史を感じるとともに、弥生時代からの忘れ物?とクスッと笑ってしまう。

そして、神の壺とともに見逃し厳禁の展示がこちら。

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出口付近では、神の壺を真似て、壺が鍾乳石に包まれるかどうかの実験を行っている。

ただいま、実験開始から84年。

少しずつ包まれているものの、完全に包まれるのはもう少し先のようだ。

■未来に残したい龍河洞の魅力

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観光コースをゆっくり楽しんだあとは、龍河洞の進化についてお話を伺った。

今回お話を聞いたのは、「株式会社龍河洞みらい」の塩坂望さん。

塩坂さんは香美市の地域おこし協力隊として龍河洞の活性化に関わり、退任した現在も事務局として龍河洞の魅力アップのために日々奔走している方だ。

-魅力アップというと、具体的にはどのようなことを行うんですか?

塩坂さん:季節ごとにイベントを企画したり、安全かつ見やすい環境整備をしたりしています。

-遊歩道のすぐそばに迫力のある鍾乳石がいくつもあって、思わず写真を何枚も撮りました。

塩坂さん:環境整備にあたり「どうしたら写真が撮りたくなるか。撮りやすいか。」というのが工夫したポイントです。ライトアップもそうですが、鍾乳石を保護するための網の目を荒くして、写真への影響を小さくする、看板を変えるなどしています。

-90周年ということですが、スタートの時には鍾乳洞内はどのような状態だったんでしょうか?

塩坂さん:実は、昔は鍾乳洞の中に遊歩道や案内版、照明などが十分に整備されておらず、途中に案内人が何人か立って、いらっしゃった方を懐中電灯を使ってご案内していたんですよ。

-鍾乳洞の中に人が急に現れるんですか?ちょっとびっくりしちゃいますね。

塩坂さん:そう思うかもしれませんが、実際はそんなことはなくて。笑 

案内人が丁寧にご説明することでお客様との交流が生まれ、何度も足を運んでくれる方々がいらっしゃったと聞いています。案内人は龍河洞のある地域の方々の有志が担当していたそうで、ここは歴史的にも地元の方々が長い歳月守ってきた大切な場所なんです。

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鍾乳洞を保護するという観点で言うと、どうすればお客様により楽しんでいただけるかということはもちろんですが、できるだけ鍾乳洞内の環境に変化を与えないということも同時に取り組まなければいけません。そのために、どこもかしこもライトアップするのではなく、最小限の整備で龍河洞の良さを生かすことが大切です。

龍河洞では、ライトアップによるマイナスの影響が鍾乳石に出ていないかモニタリングするとともに、コウモリなど洞内に生息する動植物の生態系の保護に取り組んでいる。

塩坂さん:鍾乳洞という自然環境を壊してしまうのは簡単ですが、もう一度再生させるには途方もない時間を要します。過去、龍河洞という地域の財産を守ってきた人々のおかげで今の姿があります。きれいな龍河洞を未来に残していくために、これからも保全に取り組みたいですね。

「ありのままの龍河洞」が一番の誇りという塩坂さん。

90周年を迎えた龍河洞は、これまで守り、育んできた美しい自然環境が一番の強み。この魅力を損なうことのないよう、細心の注意を払いながら、魅力を磨き上げることに一層力を注いでいることがわかった。

◯◯取材班が今回体験した「観光コース」は、いわば龍河洞入門編。次は「冒険コース」や「水の洞窟」に挑戦して、龍河洞の知らなかった一面に出会いたい。

龍河洞

住所:香美市土佐山田町逆川1424
電話:0887-53-2144 (龍河洞保存会)
開設時間:午前8時30分~午後5時(3月~11月)、午前8時30分~午後4時30分(12~2月)
定休日:なし

文/長野春子

(提供元:【高知県公式】高知県情報のまとめサイト「高知家の○○」)

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