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税金の役割と大切さについて考えよう!

税の標語とは?税金の意義・目的から内容を考えてみよう

2021/12/27

税の標語とは?税金の意義・目的から内容を考えてみよう

私たちが普段、何気なく利用しているサービスの中には、税金で維持・管理されているものがたくさんあります。例えば「道路」や「水道」、国民の安全を守るための「警察施設」「消防施設」のほか、「医療福祉」や「教育」など、当たり前のように利用しているサービスのほとんどは、私たちが納めている税金によって成り立っています。

このように税金は、社会で支え合って暮らすために必要なお金です。税金は、日本というひとつの「社会」に参加するための「会費」ともいえるでしょう。「当たり前のように受けている公共サービスは、実は税金があるからこそ成立している」。その仕組みを理解するきっかけのひとつに「税に関する標語」という取り組みがあります。今回は、「税に関する標語」を通じて税金の役割について一緒に考えていきましょう。

目次

■「税に関する標語」とは
■税の標語の役割
■税金の標語の考え方と作り方
 ・身近な税金を払う機会を考える
 ・もし税金がなかったら生活はどのように変化してしまうのか考える
 ・納税の課題や納税の未来を考える
■税を考える週間について
■私たちの生活の身近にある税金~お金について考えよう~

「税に関する標語」とは

「税に関する標語」とは、税金が私たちの生活の中でどのように結びつき、活用されているかを考えて作成する標語のことです。税になじみがない小中高校生の方やその保護者を対象に、税について考える機会を設けることを目的にはじまりました。

全国間税会総連合会の公式ホームページから投稿でき、締め切り日は毎年9月10日です。募集された「税に関する標語」の中から250点が入選作品として選ばれ、記念品とともに表彰されます。各市区町村などの自治体では、小学生・中学生向けに、税についての標語だけではなく作文の募集を行っているところもあります。

税の標語の役割

「税の標語」は、次世代の子どもたちに「税」を知ってもらうための広報活動です。今後の未来を担う学生に向けた税の標語コンクールは、税の役割をより正確に知ってもらう租税教育の一環として行われています。納税は国民の義務ですが、子どもや学生はもちろんのこと、成人であっても税にふれる機会はわずかなものです。

例えば、会社員の所得税や住民税は給料から天引きされて会社が払う仕組みになっています。中学・高校の授業で、租税教育の基礎となる「会計」が含まれるようになったのは2021年以降のことです。端的にいえば、大人や子どもを問わず「税金について学ぶ機会」は、現代社会においてほとんど存在しないのです。

そこで、「税金に関して少しでも知ってもらおう」「税金を知る機会を増やそう」という意味を込めて、税の標語コンクールが開催されているのです。税金に関するユニークな標語が、毎年数多くノミネートされています。身近な例に例えるなら、社会の世相や流行を詠んだ「サラリーマン川柳」の税金版という認識でも良いでしょう。

「税の標語」に向き合うことで、身近にある税金の役割や意味について理解を深め、考える機会になります。標語を掲げる機会を設けることで、次世代を担う学生だけではなく、その保護者も巻き込んで納税意識を高めることにもつながっています。

税金の標語の考え方と作り方

身近な租税について考えを巡らせることで、標語作りのヒントが見えてきます。税がなくなったら私たちの生活はどのように変化するのか、納税の現状と課題は何なのか、納税の未来はどうあるべきか、などについて考えてみることで税への理解が深まり、標語もより税の本質に迫ったものになるでしょう。

・身近な税金を払う機会を考える
学生にとって、税とは「親」や「大人」が払うものというイメージがあるかもしれません。しかし、商品を購入したりサービスを利用したりする際には消費税・地方消費税を支払うため、暮らしの中で税金を納める機会は年齢を問わず誰にでも公平にあります。消費活動を切り口にすれば、税がより身近に感じられるでしょう。

また、自分たちが支払った税で成り立っている公的サービスを調べることで、税金の知識を深める必要性にも気づくことができます。2021年6月現在、国税・地方税の税目は46種類あります。「税の標語」を考えるにあたっては、商品を購入した際に支払う「消費課税」だけではなく、収入に応じた「所得課税」、所有する資産に応じた「資産課税等」にも目を向けてみましょう。

自分が購入したもの・利用したサービスに課税されている消費税・地方消費税がそれぞれいくらなのかを計算してみるとか、「所得課税」や「資産課税等」になじみのある納税者に話を聞いてみることも、身近な税についての理解を深めるよいきっかけになります。

・もし税金がなかったら生活はどのように変化してしまうのか考える
「税金が何に使われているのか」が分かれば、「もし税金がなかったらどうなってしまうのか?」という逆説もイメージしやすくなります。これは、税の必要性について身に迫った具体例を思いつくヒントにもなります。冒頭でもお伝えしましたが、税によって維持されている公的サービスには、道路・橋、上下水道、病院、教育機関、警察機関といったものがあります。

もし税金がなければ、道路や橋は壊れたまま放置されるか通行料を取られるでしょう。ゴミは道端に放置されて、上下水道を使うたびに小銭を入れなくてはならず、医療費の負担も高額になってしまい、救急車を呼べば請求書が届くことになります。義務教育も一部の富裕層しか受けられなくなり、教科書を揃えられないどころか、子育てそのものを諦めざるを得ない家庭も増加します。

また、警察機関が維持できないので、自宅に不法侵入されたり暴力を振るわれたりしても、調査・逮捕のためにはお金を払って警察官を雇うか自分たちで解決するしかなくなるでしょう。社会の機能を維持する「税金」がなくなる弊害は、豊かに安心して暮らせる場所がことごとく失われてしまうことです。真面目に生きる善良な人たちほど負担を被る、とても悲しい世の中になってしまうかもしれません。

このように、納税システムがなくなったときに起こりうる最悪のケースについて想定することで、納税がどこで・どのように必要なのかを具体的に交えた標語作成ができるでしょう。

・納税の課題や納税の未来を考える
「納税は面倒...」というイメージがあるかもしれませんが、近年は納税の手間を省くための改善策が続々と生まれ、実行されています。例えば、2004年に施行されたe-taxによって、PCやスマホからオンライン納税ができるようになりました。国税を納めるためにクレジットカードが使えるようになりましたし、LINE PayやPay-easy(ペイジー)などのキャッシュレス決済による納税に対応している市町村も珍しくありません。

一方、税は未だに多くの課題を抱えています。例えば、滞納や申告漏れ・所得隠し・脱税といった「意図的に税金を払わない」という問題は、公平な税負担の実現が大きな課題として存在します。税を意図的に納めなかった「脱税」の刑罰は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑、もしくはこの両方の刑が科されるという非常に重たいものです。では、どうして「意図的に税を納めない」ことが重い罪になるのでしょうか?

前述の通り、税によって私たちが恩恵を受けている公的サービスのひとつに「道路」があります。日常生活に欠かせない道路を長く使い続けるには維持管理が必要で、その費用は私たちが納めている税金によって賄われています。もし、故意に脱税する人たちが増えたとしましょう。道路の維持に必要なお金も減ってしまい、道路も経年劣化してしまいます。スムーズに利用できなくなったら、その被害を受けるのは「真面目に税金を払っている人々」ということになります。

本来、経済的に苦しい状況下で税金の猶予・免除というセーフティネットを利用できるのは、義務だからという以前に「困っている人がいたら助ける」という気持ちで税金を納めてくれる「納税者」がいるからです。そのように助けてもらった人が身を立て直したら、今度は助ける側に回る。そういう相互扶助のつながりが「税金」を通して成り立っています。

やむを得ない事情があるわけでもないのに税を納めず、それで税によってサービスが維持されている「道路」を利用し続けることは、会費を払っていないのにこっそりサービスだけを利用するということとも似ています。そして、それは脱税というすべての国民に被害を与える影響範囲の大きな犯罪となります。だからこそ、国民のためにも意図的な脱税を見逃さないために、脱税には重い罪が課せられるのです。

税と一口に言っても、納税で得られる未来、あるいは現状の課題など、切り口を変えることでたくさんの発想が生まれます。これらをヒントに、税金について自分の意見・考えをまとめて、標語に反映させてみましょう。

税を考える週間について

毎年11月11日~11月17日には、「税を考える週間」という取組みが行われます。国税庁では1年を通して租税の啓発活動を行っていますが、「税を考える週間」には、集中的な広報活動を実施します。「税を考える週間」の間は、マスメディアを利用した広報活動が盛んに行われ、国税庁のサイトに特設ページが開設されます。また、「税を考える週間」期間中に、税の標語の優秀作品を公共施設や街に掲示し、紹介する自治体もあります。「税を考える週間」が生まれたのは、納税者の申告・納付によって税額が決定する「申告納税制度」が1947年(昭和22年)に導入されたことがきっかけでした。

その2年後に国税庁が発足しましたが、当時は税に対する不満が多く、円滑な税務行政に支障をきたしかねませんでした。税務行政は、納税者の協力なしには成り立ちません。そこで、1954年(昭和29年)に「納税者の声を聞く月間」をスタートさせました。納税者の苦情相談を受け、租税に関する周知・改善を目的に、納税意識の向上を図る機会を設けたのです。

1974年(昭和49年)には、毎年11月11日~11月17日に「税を知る週間」を策定。今までは納税者の苦情相談に応じるという受け身のスタイルでしたが、この時期から積極的に税の意義・目的などを周知するようになりました。そして2004年(平成16年)に、今の「税を考える週間」と改称されたという経緯があります。これまでの活動が功を奏し、国民の租税意識は徐々に高まっています。

「税を考える週間」では、国民1人ひとりが税の使い道に関心を持ち、国のあり方を考えるべきフェーズにあるという観点から、国の基盤を支える税の理解を深める機会として設けられています。名称や取り組み内容こそ変わっているものの、およそ50年近くも納税意識の向上に向けた取組みが今も続いています。

私たちの生活の身近にある税金~お金について考えよう~

日本では、「お金の話」を恥ずべきことだと考える傾向がありました。家庭でも、「お金のことで心配させないように」とか「人前でお金の話をするのははしたない」と心配し、夫婦の間でさえ、お金の話をタブー視するという風潮が根強く残っている地域もあります。お金は人生の選択肢を増やす重要な道具です。しかし、お金の構造は複雑化しており、金融知識をほとんど持たない状態で社会に出てしまうと、損をする可能性が高くなります。

お金の勉強というと「投資」を思い浮かべるかもしれませんが、それだけではありません。例えば、税も知識が力になる分野です。確定申告を行って株式投資の損失繰越を行えば源泉徴収された税金を還付してもらえますし、一方で、よかれと思ってやった相続税対策が大きなリスクにつながるケースもあります。たとえ未就学児であっても、お金について学ぶのに早すぎるということはありません。

民間の幼児教育機関でも、3~4歳までに身に付けておきたいスキルのひとつに「お金の数え方」を教えているところもあります。子どものうちにお金の大切さを知ることは、お金があれば叶ってしまう欲望をコントロールする自制心を育むことにもつながります。お金は生きるうえで大切な道具であり、お金の価値観が生活を左右するものです。

近年では政府が資産形成の後押しをはじめ、SNSで資産形成や投資の情報交換が盛んになり、2020年には学校授業に「会計」が導入されました。これからの時代、お金の話はタブーでもなければ恥ずべき話題でもありません。社会を支える「税金」からお金に関する知識を深め、能動的に考え、お金とうまく付き合うことで、自分や家族が持つ将来の選択肢を広げることができるでしょう。

>>お金の話はタブーじゃない~ここからはじまる基本のキ~

(提供元:全研本社四国アライアンス

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