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意外と便利!?

印鑑レス・通帳レス口座とは?

2021/5/20

意外と便利!?印鑑レス・通帳レス口座とは?

紀元前メソポタミア文明でも使われていたといわれる「印章(印鑑)」ですが、契約書に押す「実用的な印鑑」に代わり、電子印鑑を使うなど、技術の進化によって印鑑レスへの動きが強まりつつあります。

この動きは金融機関も例外ではありません。
銀行で口座開設する際、必ず銀行印が必要でしたが、現在では「印鑑レス」が進んでいます。
さらに、「印鑑レス」だけでなく、紙の通帳を発行しない口座「通帳レス」口座も広まりつつあります。

このような動きに対し、「昔からある紙の押印がなくなっても大丈夫なの?」
「便利かもしれないけれど、新しいものはどこか不安・・・」そんな風に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、「印鑑レス」の特徴や「通帳レス」にすることでどのようなメリットがあるのか、また「注意点はなに?」といった疑問について解説していきます。

1.日本最古の印鑑は「漢委奴国王」

紀元前3000年ごろのメソポタミア文明で使われていた「印鑑」は、中国を経由して日本へ伝わってきました。
日本最古の印鑑は、「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」と刻まれた金印。
歴史の授業で、習ったと記憶されている方も多いのではないでしょうか?

奈良時代には公印が取り入れられ、平安時代には貴族が私印を使用。
一般庶民は、自署や人差し指で点を打つ「画指(かくし)」などを、売買証文に押印していました。

鎌倉時代以降には、武士による「花押(かおう)」といわれる書き判が広まります。
「花押」は実名をもとに作られていましたが、戦国時代には、その時の願いや思想をもとにした様々な「花押」が広まりました。
織田信長の花押は「麒麟(きりん)」の「麟」、羽柴秀吉(豊臣秀吉)の花押は「悉国平定(国平定=国を平穏な状態にする)」の「悉」だったそうです。

さらに江戸時代にかけて、「花押」を版刻したものを墨で押印する「花押型(かおうがた)」が「印鑑」と同じように用いられ、庶民にも広く使われるようになりました。

「花押」から「印鑑」へと文化が変わったのは、明治時代に入ってからとなります。
1873年(明治6年)、「実印のない証書は裁判上の証拠にならない」とする太政官布告が制定され、そこから公式の書類には実印を押すようになりました。

これの流れが今日まで続き、「ハンコ文化」と称されるほど、日本の商習慣で印鑑が多く使われるようになったといわれています。
では今後、印鑑レスが進むと、「ハンコ文化」はなくなるのでしょうか。

ビジネスシーンからは印鑑の利用が少なくなるかもしれませんが、印鑑は用途によって使い分けられており、様々な種類があるため、「ハンコ文化」自体がなくなることはなさそうです。
例えば、書画や掛け軸にハンコが押されているのを見かけますが、これは、「落款印(らっかんいん)」といい、書道や絵画などの「完成」と「自身の作品である印」として、作者が押します。
「落款印」を押すことで、作品をより際立たせる効果もあるといわれています。

その他にも、「遊印」や「蔵書印」があります。
「遊印」は、書画作品の空白部分であれば、どこにでも押していい印鑑、「蔵書印」は、主に図書館の書物に押す印鑑で、いずれも、持ち主・所有者を明示するのに使います。

時代の流れはありますが、作品や所有物に使う美術的な「ハンコ文化」は、今後も変わらず続いていくのではないでしょうか。

2.技術の進化による印鑑レス

それでは、近年における「印鑑レス」の流れを詳しく見ていきましょう。

1900年に「商法中署名スヘキ場合二関スル法律」が成立。
これは「商法の規定によって署名が必要な場合、押印で署名に代えることができる」法律です。

2001年には「電子署名法」が成立し、「電子署名は自筆署名や押印と同等の効力がある」とされました。
これにより、「印鑑を押し書類を郵送でやり取りする」方法から、「電子署名や電子印鑑を利用しメールでやり取りを行う」方法が広がることに。

印鑑を押すため書類を郵送・返送していると、やり取りに数日かかることもありますが、電子印鑑を利用しメールでやり取りすれば、数時間で済むことも。
また、それだけではなく、用紙代・印刷代・印紙代・郵送料などが不要になるため、コスト削減につながります。

コロナ禍でテレワークが進むなか、電子印鑑を使うことで、押印のためだけに出社する必要がなくなり、事務手続きの負荷軽減や効率的に業務を進めることができます。

■金融機関における印鑑レスの流れ

金融機関でも、「印鑑レス」の流れがあります。

これまで、口座を開設するために本人確認書類とあわせて印鑑を窓口に持って行く必要がありましたが、現在ではWEBやアプリから印鑑レスで口座開設ができるようになりました。
必要なタイミングで口座が開設できるため、取扱を開始する金融機関が広がりつつあります。

さらに、「印鑑レス」口座なら、開設後も印鑑の管理が不要なので、盗難・紛失のリスクがなくなるというメリットも。

ただし、取引によっては印鑑が必要なものもありますので、事前に確認しておきしましょう。

3.印鑑レスだけじゃない!金融機関の通帳レス

「印鑑レス」とあわせ、「通帳レス」口座も普及し始めています。

「通帳レス」口座とは、紙の通帳を発行しない口座のことを指し、残高や取引明細は、紙の代わりにインターネットバンキングやアプリから確認できます。
通帳の記帳や繰越しが不要となるため、いつでも口座状況が確認できるため、思い立ったときにすぐ利用できます。

また、紙の通帳が発行されないため、通帳を紛失するリスクがありません。
紙の通帳では保管場所を忘れたり、持ち歩いてなくしたりするリスクがありますが、「通帳レス」ならパソコンやスマートフォンで確認する仕組みなので、通帳をなくす心配もありませんね。

さらに、紙を使わないので「エコ」に繋がります。
名前の通り、「通帳レス」は紙を使いません。
ペーパーレス化により、森林保護やCO2排出量の削減に貢献できる、環境にやさしい通帳ですね。

■通帳レスの注意すべき点

「通帳レス」にすることで、便利な面がある一方、注意すべき点も・・・。

例えば、プリントアウトやデータ保存を自分で行わないと、明細が手元に残らない場合があります。
紙の通帳では、窓口やATMで記帳を行うと手元に取引明細が残ります。
繰越した通帳も保管しておけば、過去の取引はすべて残すことができます。
「通帳レス」では、閲覧可能期間や閲覧可能明細数が設けられている場合があり、これを超えると、インターネットバンキングやアプリから取引明細が確認できなくなります。
閲覧可能期間、閲覧可能明細数は金融機関ごとに異なるので、「通帳レス」を利用するなら、閲覧条件をチェックしておくと安心ですね。

また、紙の通帳にしたいときは、窓口で手続きが必要となることも。
「通帳レスで口座を作ったけど、やっぱり紙の通帳にしたい。」
そんなときには、銀行の窓口で手続きが必要になる場合があります。
銀行によっては紙の通帳を発行するときに、手数料が必要になることも...。
金融機関ごとに異なりますので、事前に確認しておきましょう。

社会のデジタル化が進み、身の回りのものがライフスタイルにあわせて自由に管理できるようになりつつあります。
まずは、お金の管理に欠かせない通帳を「通帳レス」にしてみるのも一つの手段ですね。

まとめ

日本の「ハンコ文化」の成り立ち、「印鑑レス」の流れ、「通帳レス」について、いかがでしたか?

私たちは筆からペンに持ち替え、そのかわり、書道という美しい文化を築きました。
「ハンコ」も同様に実務から文化へと変容しつつあるようです。
スピードの速いデジタル化への流れにうまくのることで、
紙やムダな時間を減らし、美しい自然の中で「文化」を楽しむ時間が増えるかもしれません。

<ご参考>
四国銀行では「龍馬支店」で通帳レス口座を採用しているほか、2021年3月から取扱いを開始しました「スマート通帳」の利用登録をしていただくことで、現在ご利用中の普通預金口座を、通帳レス口座に変更いただけます。
是非、ご活用ください。(個人のお客さまに限ります)
※スマート通帳への切替えはスマートフォンの四国銀行アプリからお手続きいただけますが、普通預金に貯蓄預金口座がセットされた通帳をご利用の場合は、窓口でのお手続きが必要となります。お手数をおかけいたしますが、ご本人確認資料、ご印鑑をお持ちのうえ、当行本支店窓口にご来店ください。

四国銀行アプリ https://www.shikokubank.co.jp/individual/service/apps/

(提供元:アイクリエイト四国アライアンス

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