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カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは何か?脱炭素社会実現のための取り組みについて知ろう!

2022/8/15

カーボンニュートラルとは何か?脱炭素社会実現のための取り組みについて知ろう!

地球温暖化は気候変動や自然災害を引き起こし、ゆくゆくは人間の生命にも関わる深刻な問題です。日本を含む世界では今、2050年のカーボンニュートラル実現を通じて、環境問題の解決を目指す動きがあります。この記事では、カーボンニュートラルの概要と脱炭素社会実現への取り組みについて解説します。

カーボンニュートラルとは?意味や必要性、関連用語との違い

カーボンニュートラルとは何か?脱炭素社会実現のための取り組みについて知ろう!

環境問題の中でも対応が急務とされているのが、地球温暖化です。ヨーロッパをはじめ、世界中で地球の温度上昇を食い止めるための取り組みが行われています。その一つが、カーボンニュートラルの実現です。

カーボンニュートラルとは

炭素(カーボン)を中立状態(ニュートラル)にする方法です。温室効果ガスの排出量と除去率・吸収率をプラスマイナスゼロにして、気温上昇の抑制を目指します。

温室効果ガスは、地球温暖化の要因となります。温室効果ガスに含まれるのは、二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロンガスなどです。特に二酸化炭素は石炭・石油の使用やセメントの製造過程で多く発生します。

環境保護のために化石燃料の使用量を減らしたり、温室効果ガスの吸収量を高めたりするのが、カーボンニュートラルの取り組みです。

投資・資産運用トレンドにも影響

気候変動リスクは今、地球全体の大きな課題です。そのため昨今、カーボンニュートラル実現をはじめとする環境問題に取り組んでいるかが企業の評価基準となりつつあります。いわゆる「ESG投資」です。

ESG投資とは環境・社会・企業統治を柱に企業を評価し、投資する方法を指します。気候変動により企業が打撃を受ければ、世界金融にも大きなダメージとなります。最悪の事態を避けるべく、環境問題への取り組みは投資においても注目を集めているのです。カーボンニュートラルもESG投資に関する判断材料のひとつとなっています。

カーボンニュートラルが必要な理由

地球表面(地表)の熱が上がると、気候変動や気象災害の発生頻度が増します。このペースで気温上昇が進めば、生命にも関わるとされています。地球環境を守るために、カーボンニュートラルの実現が欠かせません。

地球温暖化のメカニズム

太陽から届く熱により、地表が温まります。そして地表から放射される熱は温室効果ガスに吸収・再放射され、大気が熱せられるのです。

温室効果ガスの濃度が高まればその分大気が温められ、熱が外に逃げにくくなります。これが、いわゆる「温室効果」です。温室効果ガスが大気中に増えれば増えるほど地球の平均気温が高くなっていくのは、この仕組みによります。

カーボンオフセットやネットゼロとの違い

カーボンニュートラルと併せてよく用いられるのが、「カーボンオフセット」「ネットゼロ」という言葉です。温室効果ガスを減らすという方向性は共通していますが、意味がそれぞれ異なります。

カーボンオフセットとの違い

カーボンオフセットとは、炭素(カーボン)を相殺(オフセット)することです。どうしても排出されてしまう温室効果ガスを、ほかの活動で埋め合わせます。

カーボンニュートラルでは、温室効果ガスの排出量と除去率・吸収率を均衡させます。一方、カーボンオフセットの場合、温室効果ガスの排出量に相当する活動を間接的に実施するのです。たとえば、環境保全活動を数値化した「クレジット」を市場で売買して相殺する方法があります。

ネットゼロとの違い

ネットゼロとは、温室効果ガスの排出量が正味(ネット)ゼロの状態を指します。カーボンニュートラルの同義語として用いられることが多い言葉です。

ただ、実はニュアンスが若干異なります。カーボンニュートラルは「排出量と除去率・吸収率を中立させる」ことを意味します。ネットゼロは「排出量から除去率・吸収率を差し引くと正味ゼロ」の状態です。中立させるのか差し引くのかという点で、両者の違いがあります。

脱炭素社会実現に向けた取り組み

カーボンニュートラルとは何か?脱炭素社会実現のための取り組みについて知ろう!

温室効果ガスを早急かつ着実に削減するため、国ごとに温室効果ガスの排出基準や削減目標が設定されています。それに基づき、各国の企業では主に以下について取り組んでいます。

再生可能エネルギーへの転換

再生可能エネルギーは、繰り返し再生して利用可能なエネルギー資源です。太陽光、風力、水力、バイオマスなどを活用し、化石燃料に代わるエコなエネルギーとして注目されています。

温室効果ガスを構成する気体の多くが、エネルギーを作るときに発生する二酸化炭素とされています。化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えることは、温室効果ガスを減らすのに有効です

省エネ設備の開発・導入

エネルギーの転換だけでなく、エネルギーを使用する設備そのものの見直しや新たな設備の開発も行われています。

また、生産プロセスの省エネ化や、カーボンニュートラル実現のためのPDCAサイクルの実践なども並行して実施する必要があります。これまで以上にデータを「見える化」し、測定値に基づいた事業計画の策定が行われているのです。

緑化による温室効果ガス吸収の促進

CO2の排出量を減らすだけでなく、吸収量をいかに増やすかも重要です。植林など森林の環境保全を通じて、樹木の光合成によるCO2吸収量アップを目指します。

緑化事業を企業活動の一つとして大きく打ち出している会社も増えています。ESG投資の判断材料にもなっている取り組みです。

カーボンニュートラルの課題点

カーボンニュートラルとは何か?脱炭素社会実現のための取り組みについて知ろう!

カーボンニュートラルの推進は、世界中の企業にとって急務といえます。しかし、実現にはいくつかの課題もあります。

排出基準の算出・検証

温室効果ガスの排出基準は、モノの生産行為を軸に算出・設定されています。そのため、生産拠点が多い発展途上国の方が先進国よりも排出基準が高くなっているのです。

化石燃料への依存度が高い発展途上国において、これは大きな課題となります。インフラ整備を行うにも、排出量の増加は避けられません。

モノの消費行為から排出基準を設定しようとしても、データを計測してとりまとめるのは困難を極めます。そのため、基準と現状にズレが生じているのが実情です。

技術開発やコスト管理の推進

再生可能エネルギーの活用や省エネ設備の導入、緑化促進には課題もあります。それは、新たな技術の開発とコストの増加です。

たとえば、再生可能エネルギーは導入メリットが大きい反面、発電コストが化石燃料よりも高くなります。また、今の技術下では供給が不安定になりがちという点も考慮しなければなりません。

脱炭素社会実現に向けた体制を整えるために技術開発やコスト管理をどう進めるかが、企業にとって大きなテーマとなっています。

まとめ

カーボンニュートラル実現へ向けた動きは、もはや常識といえるでしょう。前述した脱炭素社会を目指すための新たな技術開発を行う中で、新たな環境保全の仕組みや省エネにつながるテクノロジー等を見いだし、目覚ましい成長を遂げている企業もあります。

「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」という世界の動きを見据え、一人ひとりがより強い意識を持って行動することが大切です。

著者/もろふし ゆうこ
もろふし ゆうこ
FP技能士2級、証券外務員会員一種
大手証券会社、銀行の個人営業職を経験した後、26歳で独立系ファイナンシャルプランナーとして独立。個人を対象に相談業務やセミナー・講演会の講師業、各種メディアへ出演し情報提供を行う。現在はFPの知識を活かした執筆活動を中心に活動している。

(提供元:CyberKnot四国アライアンス

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