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高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説

2022/12/20

高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説

2022年(令和4年)4月から高校で金融教育が義務化され、資産形成の授業がスタートしました。日本ではお金の教育は家庭で行うものとされてきましたが、最近では学校での金融教育を求める声が高まっています。この記事では、金融教育の重要性や高校で学ぶ内容について解説します。

金融教育が義務化された背景

高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説

高校での金融教育義務化は、学習指導要領の改訂を受けてのものです。最初に、高校で義務化されるまで金融教育の必要性が高まった背景について解説します。

資産運用の必要性

日本では少子高齢化による年金財政の悪化で、多くの人が老後に公的年金だけで生活するのは難しいと考えています。そのため、今後のために自力でまとまった資産を形成していかなければならないと考える人も少なくないかもしれません。

現状の超低金利のもとで預貯金だけではお金はほとんど増えないため、運用による効率的な資産形成を身につける必要があります。学校で運用の知識を学び、多くの人が実践につなげていくことが期待されているのです。

成年年齢引き下げによるトラブル防止

民法改正により、2022年4月から成年年齢が18歳に引き下げられました。それに伴い、NISA(少額投資非課税制度)の対象年齢も2023年からは18歳からに拡大されます。それだけでなく、一部の金融機関ではクレジットカード契約も本人の意思だけで締結できるようになります。

成年といっても18歳では社会に出ていない人も多く、親元から離れた場合には詐欺などにあう可能性も高まるでしょう。金融や消費のトラブルを避けて正しい判断をするには、金融リテラシーを今までより早い段階で身につける必要があるのです。

諸外国と比較した日本の金融教育の遅れ

金融先進国のアメリカでは統一的なカリキュラムはないものの、1960年代から全国で地域や学校の裁量で金融経済教育が行われてきました。クレジットシステムの発展により金銭管理を学ぶことは必須とされ、現在も盛んに行われています。

イギリスでは「シティズンシップ」という教科横断型の科目を導入しています。これは、市民として生きていく基礎を学ぶ仕組みです。お金についての学習もシティズンシップに含まれ、金融能力育成のガイドラインも定められています。

先行する諸外国の金融教育から遅れてしまった日本では、学校での金融教育の実現が課題とされてきました。実際に金融教育の重要性を認識し、求める声が高まっています。

高校の金融教育の学習内容

高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説

高校では金融について、具体的にどのような内容を学ぶのでしょうか。金融庁の「金融経済教育指導教材」の内容から紹介します。

出典:金融庁「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」

家計管理とライフプランニング

高校卒業後には親元を離れる子どもも多く、お金のやりくりは高校生のうちに知っておきたい知識です。家計管理やライフプランニングでは、日常的なお金の管理やライフイベントに応じた資金準備などについて学びます。主な内容は以下のとおりです。

  • 収入と支出を管理し、貯蓄の習慣をつける
  • どんな人生を送りたいか考え、時系列で人生設計を描いてみる(ライフプランニング)
  • 多様な働き方を知り、自分の将来について考える
  • 人生の3大資金(教育・住宅・老後資金)を計画的に準備する

お金の使い方

キャッシュレス決済の普及により現金との違いを理解し、お金を賢く使う必要性が高まっています。お金の使い方については、以下のような内容を学びます。

  • 必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)に分けてお金を使う
  • キャッシュレス決済のメリット・注意点を理解する

社会保険と民間の保険

民間の保険は、社会保険を補完するためにあります。賢く利用するには、社会保険の正しい理解が必要です。社会保険と民間の保険で学ぶ内容は以下のとおりです。

  • 保険とはさまざまなリスクに備え、みんながお金を出し合い、万一の事故の際にお金を受け取る仕組み
  • 日本には公的な社会保険制度があり、民間には生命保険と損害保険があること

資産形成

NISA(少額投資非課税制度)も18歳から利用できるようになり、使いこなしていくためには資産形成の基礎知識が必要です。資産形成については基礎・応用とたくさんの内容が盛り込まれ、以下のような内容を学びます。

  • 目的別に金融商品を活用し、資産形成をする
  • 利息の仕組みを知る
  • 預貯金・債券・株式・投資信託の特徴を知る
  • リスクとリターンの意味を理解する
  • 投資の利益や損失は自己責任であることを理解する

ローン

お金が足りないときに利用できるクレジットカードなどは便利ですが、利用するには正しい知識が必要です。ローンについては、以下のような内容を学びます。

  • お金を借りたら元本に利子を付けて返さなければならない
  • クレジットカード・ローンの手数料とは実質的には金利である
  • 返済を意識して借り入れ、借りすぎないようにする
  • 奨学金の仕組みを理解する

金融トラブル

世の中には投資詐欺やマルチ商法など、さまざまな金融や消費のトラブルがあります。正しい知識を身につけ、対応法を知っておく必要があります。金融トラブルについて学ぶ内容は、以下のとおりです。

  • 金融トラブルの手口を知る
  • 怪しい話に注意し、適切に判断する
  • トラブルにあった場合の対処法を理解する(契約の取消しや無効を求める方法、消費者ホットライン(188番)に相談する)

金融教育に関する便利サイト、アプリを紹介

高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説

金融教育は生活に密着した内容であるため、学校だけでなく家庭でも学ぶと効果的です。ここでは、家庭で楽しめる金融教育のサイトやアプリを紹介します。

まねぶー

「まねぶー」は、ゲーム感覚でお金の仕組みを学べるマネー学習アプリです。アプリ内で子どもが仕事をして、アプリ内通貨「マネブ」をもらいます。もらった通貨で買い物をし、そのやりくりが記録できます。稼いだお金を使うことで、社会の仕組みを学ぶことが可能です。

まねぶー

うんこドリル×金融庁

大人気の「うんこドリル」と金融庁のコラボによる、お金のサイトです。サイトの中のクイズを楽しみながら、お金や経済の仕組みについて学べます。また、「新成人向けうんこクイズ」という過剰借り入れ・ヤミ金利用に関する注意喚起動画もあり、高校生にも活用してほしい内容です。

うんこドリル×金融庁   新成人向けうんこクイズ

カネールのKINYOUランド

金融庁が提供する、ゲームで金融について学べるサイトです。金融用語の「かるた遊び」は専門用語も多く、大人にとっても勉強になる内容となっています。漢字が多く使われているため、小学校高学年以上向きといえるでしょう。

カネールのKINYOUランド

まとめ

資産運用の必要性や成年年齢の引き下げ、諸外国と比較した金融教育の遅れにより、高校での金融教育が義務化されました。お金の知識は生活に欠かせないため、家庭でも親子でお金についての話ができるとより有意義です。堅苦しく考えず、手始めにお年玉の有効活用などから取り組んでみてはいかがでしょうか。

著者/松田聡子

(提供元:CyberKnot四国アライアンス

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