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種類や計算方法について詳しく解説!
扶養内の計算方法とシミュレーション。平均年収の目安や月々の手取りも紹介
2023/9/5
扶養の範囲を超える収入になると、社会保険料を支払ったり税金を納税したりする必要があります。扶養内となる収入をシミュレーションすると、社会保険や税金の支払いが発生するか確認できるのです。この記事では、扶養内の計算方法とシミュレーションについて解説します。
扶養内の計算方法と条件
扶養に入るためには収入や勤務状況などの条件を満たす必要があり、数種類の段階に分けられていて複雑です。まずは、扶養の種類と計算方法、条件について解説します。
扶養の種類
自分の収入で生計を立てられない配偶者や家族を対象に、経済的に援助する仕組みが扶養です。税制と社会保険の扶養について解説します。
税制での扶養
税制での扶養に入ると、扶養する人の所得税で配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除が適用されます。所得税の対象となる収入から控除額を差し引いて税金を計算するため、扶養に入ると税金が安くなるのです。
扶養控除の対象となるのは、6親等内の血族と3親等内の姻族(婚姻によってできた親族)になります。配偶者や兄弟だけでなく、叔父と叔母、祖父母の兄弟、従兄弟の孫、配偶者の兄弟の子どもも含まれます。また、扶養控除の対象となるには年末時点で16歳以上、扶養する人と家や生活費などの生計を同じくしていることが条件になります。
社会保険での扶養
社会保険では、健康保険と厚生年金の扶養となります。健康保険を運営しているのは、協会けんぽと健康保険組合の2つです。それぞれで条件が異なりますが、ここでは加入者数の多い協会けんぽについて解説します。
扶養の対象は配偶者と子、孫、兄弟姉妹で、扶養する人の収入で生計を維持している人です。健康保険での扶養は、75歳未満になります。75歳以上は後期高齢者医療制度へ加入するため、扶養には入れません。扶養になると、健康保険と厚生年金の社会保険料の支払いが不要になります。
年収の計算方法と扶養内となる年収額
扶養で計算する年収は、給与だけでなく副業の収入や株式の運用で得た配当、生命保険の一時金、年金収入も含まれます。収入が給与のみの場合は計算が単純ですが、株式の配当や生命保険の一時金を受け取った年は注意が必要です。 扶養内となる年収のシミュレーションを、以下の表にまとめました。
扶養内の年収のシミュレーション
年収 | 該当する制度 | 詳細 |
---|---|---|
100万円超 | 住民税 | ・住民税が課税される ・課税所得×10%+均等割り5000円程度 |
103万円超 | 所得税 | ・扶養する人が扶養控除を受けられない ・所得税が課税される |
106万円超/130万円超 (※180万円超) | 社会保険 | ・健康保険と厚生年金の保険料が給与から天引きされる ・傷病手当金と出産手当金がもらえる ・老後の年金収入が増える ※ 扶養される人が障がい者、または、60歳以上の方は年収180万円超が対象 |
201万円超 | 所得税 | ・扶養する人が配偶者特別控除を受けられない |
扶養内となるための条件
扶養内となるためには、勤務先や収入、労働時間の条件があります。
勤務先の従業員数
パートとアルバイトの人が社会保険に入る条件は、勤務先の従業員数によって異なります。2024年9月までは従業員数101人以上、2024年10月からは従業員数51人以上の企業が対象です。
従業員数が基準を超えていて年収が106万円(月収8.8万円)となると、パートとアルバイトでも健康保険と厚生年金に加入します。手取りは減ってしまいますが、傷病手当金と出産手当金がもらえるようになり、老後の年金収入も増えます。
交通費は収入に含まれない
家族の扶養に入る条件としての収入に、交通費は含まれません。給与と同時に交通費が支給されている場合、差し引いた収入でシミュレーションしましょう。交通費を含んだ収入で扶養が外れてしまう場合でも、実際は扶養内となる可能性があります。交通費を含んだ金額を、収入として計算しないよう注意しましょう。
労働時間
扶養内となる条件は、雇用形態ではなく労働時間で計算します。1週間の労働時間が20時間以上となる場合、パートとアルバイトでも社会保険の扶養の対象です。また、雇用期間が2ヶ月を超える見込みが必要となります。
扶養内となる平均年収のシミュレーション
ここからは、扶養内となる平均年収をシミュレーションで解説します。
年収が100万円を超える場合
年収が合計で100万円を超えると、住民税が課税されます。住民税のシミュレーションは、次のとおりです。
● 住民税の課税所得=給与収入-給与所得控除(55万円、年収165万円以下の場合)-非課税限度額(45万円)
● 住民税=課税所得×10%+均等割5000円程度
例えば、主婦がパートでの年収が合計で101万円だった場合、住民税は約6000円です。年収101万円は、月収で約8万4200円になります。
年収が103万円を超える場合
年収が合計で103万円を超えると、扶養していた人の扶養控除がもらえなくなります。通常の扶養控除は48万円ですが、学生の場合は63万円のため、扶養している人の所得税が大きく増えます。また、本人に所得税が課税されると支出が増えるのです。
例えば、年収が104万円だった場合、本人に課税される所得税の計算は次のとおりです。
● 課税所得=年収104万円-基礎控除38万円-給与所得控除55万円≒1万円
● 所得税=課税所得1万円×所得税率5%=500円
年収が104万円の場合、本人の所得税の負担はそれほど大きくありません。年収104万円は、月収で8万6700円程度です。
年収が106万円または130万円を超える場合
年収が106万円を超えると社会保険の加入対象となり、手取りの金額が減る可能性があります。企業の従業員数によって社会保険に加入する年収が異なるため、該当するか確認しておきましょう。
社会保険の適用になる年収
時期 | 企業の従業員数 | 社会保険の加入条件 |
---|---|---|
2024年9月末まで | 従業員数101人以上 | ・1週間の所定労働時間が20時間以上 ・月額の賃金が8.8万円以上 ・2ヶ月以上の雇用見込みがある ・学生ではない |
2024年10月以降 | 従業員数51人以上 | 同上 |
年収が130万円を超えると社会保険の扶養が受けられなくなるため、本人の社会保険料の支払いが発生します。給与の14%程度が、保険料の金額です。健康保険に加入することで、傷病手当がもらえたり出産手当金がもらえたりするメリットがあります。
また、厚生年金によって、老後にもらえる年金が増えます。世帯での支出は増えますが、万が一の保障や老後の収入が増える点はメリットといえるでしょう。
年収が180万円を超える場合
年収が180万円を超えると、60歳以上または障がい者は扶養に入れなくなり、社会保険の支払いが必要になります。年収が180万円の場合は、月収で15万円です。年収が130万円を超える場合でも状況によっては扶養に入れる可能性があるため、事前に確認しておきましょう。
年収が201万円を超える場合
年収が201万円6000円を超えると、扶養していた人が配偶者控除を全く受けられなくなります。この場合、扶養していた人の所得控除が減ってしまい課税所得が増えて税金が高くなるため、注意しましょう。年収が201万6000円は、月収にすると16万8000円です。
まとめ
扶養に入るためには、本人や世帯収入の合計などの条件を満たす必要があります。扶養に入れるか外れるかによって世帯での税金や社会保険の支出が変わるため、家族の状況を考慮して計画することが大切です。扶養内になるための計算方法やシミュレーション、月々の平均収入の参考にしてみてください。
(提供元:iyomemo)
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