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フェーズフリーとは?言葉の意味や考え方、災害に備える方法などを徹底解説

2023/11/8

フェーズフリーとは?言葉の意味や考え方、災害に備える方法などを徹底解説

フェーズフリーとは、防災に関する新しい考え方です。本記事では、フェーズフリーの意味や誕生の背景について説明します。災害に備えるため個人でできることや、企業の取り組みについても知っておきましょう。

フェーズフリーとは?意味を確認

フェーズフリーとは?言葉の意味や考え方、災害に備える方法などを徹底解説

フェーズフリーの「フェーズ(phase)」とは、日常時、非常時という「局面」のことです。「フリー(free)」とは区別をなくすことを意味します。フェーズフリーとは、日常時と非常時の区別をなくすという意味です。

日本は災害の多い国で、地震や津波、台風などに備える必要性が高くなっています。繰り返す災害に対処するため、まずは、フェーズフリーとはどんな考え方かを説明します。

日常時も非常時も同じ生活を目指す

災害はいつ起こるかわからないため、備えが必要です。これまでは、災害のために日常時と異なる準備をしておくのが当然と考えられていました。専用の防災グッズを揃えたり、食品を備蓄したりしている人は多いでしょう。

しかし、災害が頻繁に起こる状況では、災害時を特別視した備えでは間に合わない可能性があります。日常時でも非常時でも通用する生活を送るのが効率的です。

こうしたことから生まれた考え方が、フェーズフリーです。フェーズフリーの考え方は、災害という非常時のために特別な備えをせず、生活の中に災害を意識した視点をとり入れる「備えない防災」です。

フェーズフリー誕生の背景

フェーズフリーは、防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏によって、2014年に提唱された防災に関する新しい考え方です。その当時は、2011年の東日本大震災がまだ記憶に新しく、防災意識が高まってはいましたが、定着するには至りません。大きな災害直後は防災関連の商品・サービスが注目されますが、いつの間にか忘れ去られてしまいます。災害の多い日本でも防災意識が定着しないことから、非常時のために特別な備えをするのは難しいのではないかと考えました。

防災のために特別な備えをしない

佐藤氏は、繰り返す災害に備えるために、日常時と災害時を分けるのをやめてみることを提案しました。これがフェーズフリーの発端です。

フェーズフリー協会の発足

2015年、フェーズフリー総合研究会が任意団体として設立され、論文発表や講演活動により世間への認知が進みました。2018年には一般社団法人フェーズフリー協会が発足し、商品やサービスの「フェーズフリー認証」を行う制度も設けられています。

フェーズフリーな社会を実現する方法

フェーズフリーな社会を実現するためには、企業による商品・サービスの開発が欠かせません。個人においては、防災の観点からも役立つ商品・サービス選びを心がける必要があります。
各自がそれぞれの立場でできる方法を実践していけば、フェーズフリーな社会が実現します。

個人が実践するフェーズフリー

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フェーズフリーは、個人でも実践できます。

フェーズフリーという防災の考え方を知っていれば、特別なことをしなくてもかまいません。普段使う日用品とは別に防災用品を揃えなければならないストレスからも解放されます。
ここからは、個人でフェーズフリーを実践する方法について説明します。

フェーズフリー商品の購入

日用品を購入するときには、フェーズフリー商品かどうか意識してみましょう。フェーズフリー認証を受けている商品には、「フェーズフリー認証マーク(以下、「PF認証マーク」)」が付いています。商品購入時にはマークをチェックしてみるのがおすすめです。

ローリングストック法で備蓄品を管理

ローリングストック法とは、食料や水を多めに買い置きしておき、使った分を買い足す方法です。常に一定量の食品が備蓄されている状況を作り出せるので、防災対策になります。
ローリングストック法により防災備蓄品を準備することも、フェーズフリーの考え方に合っています。

企業におけるフェーズフリーの取り組み

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ここからは、フェーズフリーな社会の実現のために企業ができることを解説します。実際に行われている取り組みを参考にしてみてください。

フェーズフリーデザインを意識した商品開発

フェーズフリーデザインとは、日常時に使う商品を、非常時にも使えるよう設計することです。日常時と非常時で異なる使い方ができるよう、工夫されている商品もあります。すでに多くの企業で、フェーズフリーデザインを意識した商品開発が行われています。

フェーズフリー商品の事例

国内では、以下のようなフェーズフリー商品が開発されています。

フェーズフリー商品の例

  ● 非常時にはバケツにもなる撥水バッグ
  ● 非常時には計量カップになるメモリ付き紙コップ
  ● 濡れた紙、上向き、氷点下の環境でもしっかり書ける油性ボールペン
  ● 防災LED付きモバイルバッテリー

出典元:一般社団法人フェーズフリー協会「フェーズフリー認証商品 一覧

フェーズフリー認証とは?

商品やサービスが、日常時・非常時ともに価値を有していることを証明するために、フェーズフリー認証制度が設けられています。フェーズフリー認証は、一般社団法人フェーズフリー協会が行うものです。
フェーズフリー認証を受けた商品には、「PF認証マーク」の使用が許可されます。商品本体、パッケージ、チラシなどにPF認証マークを活用することで、消費者に向けて企業の取り組みをアピールできます。

フェーズフリーなオフィス家具を利用

商品を製造販売していない企業でもフェーズフリーを取り入れることができます。災害が起った時には日常時と異なる使い方ができるオフィス家具も開発されているのでオフィス家具の導入時には検討しましょう。

フェーズフリーなオフィス家具の例

  ● 組み合わせても使える1人掛けロビーチェアー
  ● ベッドにもなる強化ダンボール
  ● 幅を調整して自由なレイアウトが可能なスクリーン

出典元:一般社団法人フェーズフリー協会「フェーズフリー認証商品 一覧

テレワークの導入もフェーズフリーに役立つ

従業員の働き方に、フェーズフリーの考え方をとり入れる方法もあります。日常時からテレワークを導入していれば、通勤時の災害リスクを回避しつつ、通常の業務を行えるでしょう。

まとめ

フェーズフリーとは、日常時に使う商品・サービスを非常時にも活用できるようにする考え方です。フェーズフリー商品は次々と開発されているので、オフィスや家庭での防災対策に役立てましょう。
日本では地震や津波だけでなく、異常気象などで予期しない災害が増えています。今使っている日用品が非常時にも使えるかどうかを考え、必要であればフェーズフリー商品の導入も検討してみてはいかがでしょうか。

著者/森本 由紀

(提供元:Mattrz四国アライアンス

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