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定年後の生活の支えとして
退職金の運用でおすすめの方法は?仕組みや重要なポイントなどをわかりやすく解説
2024/5/23
退職金を受け取ったら、どうやって使おうかと悩んでいる人は多いでしょう。中には、退職金を運用して増やすことを考えている人もいるかもしれません。そこで今回は、退職金のおすすめの運用方法について説明します。ぜひ、参考にしてみてください。
退職金を運用した方がいい理由
退職金を運用すべきかどうか、迷っている人も多いでしょう。まずは、退職金を運用する必要性について説明します。
平均寿命は延びている
厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は、男性81.05歳、女性87.09歳です。日本では60歳定年が一般的ですが、定年後もまだまだ人生は続くことが予想されます。
定年後どれくらい生きる?
平均寿命とは0歳における平均余命であるため、早く亡くなった人も計算に含まれています。定年後の人生がどれくらい続くかは、60歳における平均余命をみた方がわかりやすいでしょう。60歳時点の平均余命は、男性23.59歳、女性28.84歳です。
60歳まで生きてきた人は、その後平均で20年以上生きています。定年後も安心して生活を送るためには、十分なお金を確保しておくべきでしょう。退職金はすぐに使わず、お金を増やすことが重要になってきます。
老後資金は公的年金だけでは不足する
老後の生活を支える柱となるのは公的年金です。しかし、公的年金だけでは生活するのに十分な額にはなりません。
年金の平均額は?
厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員だった人の平均年金月額は14万3,965円です。男女別にみると、男性16万3,380円、女性10万4,686円となっており、夫婦の年金を合わせても決して多くないと思われます。
ちなみに、年金が国民年金(老齢基礎年金)だけの場合には、満額で月6万6,250円、平均で月5万6,479円です。夫のみが厚生年金をもらえる専業主婦世帯では、年金はかなり少なくなってしまいます。
老後生活に必要な金額は?
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るためには最低でも月23.2万円、ゆとりある生活をするには月38万円が必要とされています。よって、年金以外の生活資金を準備しておくことが重要です。
退職金を運用して増やせば、老後の安心感が大きくなります。退職金は老後の生活費に充てるものとして、運用していくのが賢い方法です。
今後のインフレの可能性
退職金を預貯金だけで運用していると、インフレになった場合には価値が目減りしてしまいます。現在物価が上昇していますが、このままインフレが進む可能性があります。同じモノを買うのにお金がたくさん必要になれば、相対的にお金の価値が下がることになるのです。
株式等の金融商品に投資すれば、物価上昇と共に価値が上がり、資産を守れます。今後のインフレの可能性を考えても、退職金は投資に回した方がよいでしょう。
退職金の運用方法5選
退職金を受け取ったら、運用するのがおすすめです。何も考えずに退職金を使っていれば、すぐになくなってしまうかもしれません。退職金を運用すれば、資産寿命を延ばせます。ここからは、退職金の運用方法を5つ説明しますので、運用の手段を考える参考にしてください。
個人向け国債
個人向け国債とは国が発行する債券で、最低1万円から1万円単位で購入できます。国が責任をもって支払いを行うため、安心・安全な商品です。
個人向け国債には変動金利型の「変動10年」と、固定金利型の「固定3年」「固定5年」の3つのコースがあるので、資金を使う時期に合わせて選ぶのがおすすめです。変動10年なら今後の金利上昇に応じて適用金利が上がる可能性もあります。
投資信託
初心者が株式投資をすると、銘柄選びに悩んでしまうものです。投資信託なら運用をプロに任せられます。投資信託とは、投資家から集めた資金を運用のプロ(ファンドマネージャー)が複数の商品に分散投資する商品です。運用で得られた利益は、投資家に還元される仕組みになっています。
投資信託は、長期的な運用におすすめです。積み立て投資をすれば、投資タイミングが分散され、リスクを抑えられます。
定期預金
投資はリスクが心配、できるだけ安全な商品で運用したいという人は、退職金専用の定期預金を利用しましょう。退職金専用定期預金は、通常の定期預金よりも高い優遇金利が適用される仕組みになっています。
退職金専用定期預金の3か月ものの金利は0.1%~1%程度です。たとえば、1000万円を金利1%の3か月ものの定期預金で運用した場合、満期に得られる利息(税引き後)は次のとおりです。
●1000万円×1%×90/365=24657円(税引前利息)
●24657円-5009円(税金)=19648円
貯蓄型保険
退職金を貯蓄型保険で運用する場合、貯金の機能と保険の機能の両方を使えます。終身保険、個人年金保険、養老保険、変額保険などが貯蓄型保険です。
たとえば、終身保険は一生涯の保障が得られる生命保険です。一定期間経過後に解約すれば、保険料払込総額を上回る解約返戻金が受け取れる仕組みになっています。万一に備えながら貯蓄もできるというメリットがあります。
退職金運用のコツと注意点
退職金は残りの人生のための貴重な資金です。運用に失敗してお金を減らさないように注意しましょう。ここからは、退職金運用のコツについて解説します。
長期的な運用を前提にする
退職金を受け取った後、何年生きるかはわかりません。長生きしてもお金に困らないようにするためには、資産寿命を伸ばす必要があります。すぐに使う予定があるお金を除き、長期的な運用を考えましょう。
分散投資する
投資では元本が保証されていないため、元本割れのリスクがあります。リスクを抑えるためには、分散投資をするのが有効です。1つの商品のみに投資するのではなく、複数の商品に投資しましょう。リスクとリターンのバランスを考えて資産配分をすることが重要です。
NISAを活用
運用で得られた利益には、原則として20.315%の税金がかかります。しかし、NISAを利用して運用すれば、一定額までの投資にかかる税金が非課税になります。退職金を運用するときには、NISAを活用しましょう。
2024年1月から、従来のNISAのメリットを拡充した新NISAがスタートしました。新NISAでは、年間で最大360万円、総額で最大1800万円の投資を非課税にできます。投資経験がない人も、この機会に投資を始めてみるのがおすすめです。
まとめ
定年後の長い老後生活を支えるために、退職金は運用して増やすことを考えてみましょう。投資となると、元本割れのリスクを心配する人も多いかもしれません。長期的な運用を前提に分散投資を行えば、リスクを軽減できます。退職金を運用するなら、NISAを利用した非課税投資でさらにメリットを大きくするのがおすすめです。
AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。
(提供元:iyomemo)
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