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2025年12月31日廃止

ガソリン税とは?暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!

2025/12/4

ガソリン税とは?暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!

近年、「ガソリン暫定税率廃止」が大きな話題となっています。
しかし、そもそも暫定税率とは何か、廃止により生活がどう変わるのかは、意外と知られていません。
この記事では、暫定税率の仕組みと廃止後に私たちの生活がどのように変わるのか、わかりやすく解説します。

話題のガソリン暫定税率とは?

私たちが普段購入するガソリンには元々、「ガソリン税」という税金が課されています。
その税率に一定期間上乗せされる形で課されているのがガソリン暫定税率です。

具体的には、ガソリン1リットルあたり25.1円が上乗せされており、ガソリン暫定税率が廃止されれば、理論上はその分だけ価格が下がる計算になります。

そもそもガソリン税とは?

「ガソリン税」は、ガソリンに課されている「揮発油(きはつゆ)税」と「地方揮発油(きはつゆ)税」の総称です。
また、これらに加え、一定期間引きあげられている税率(=ガソリン暫定税率)を含めてガソリン税と呼ばれることもあります。

ガソリン税の内訳1リットルあたりの課税額1リットルあたりの課税額
暫定税率25.1円/リットル
(揮発油税に24.3円/リットル、地方揮発油税に0.8円/リットル)
揮発油税と地方揮発油税に上乗せして課される特例的な税率。
地方揮発油税4.4円/リットル国が徴収し、国から地方へ譲与(配分)される地方譲与税の一つ。
揮発油税24.3円/リットル比重0.8017以下の炭化水素油(ガソリンなど)に課される国税(※灯油は対象外)

ガソリン税とは?暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!

ガソリン暫定税率が上乗せされることで、ガソリンには1リットルあたり、53.8円(揮発油税:24.3円+地方揮発油税:4.4円+暫定税率:25.1円)の税金が課されることになります。

それでは、具体的にこれら3つの税金の内容を詳しく見ていきましょう。

揮発油(きはつゆ)税

揮発油税は、主にガソリンに対して課される国税で、1リットルあたりの課税額は24.3円です。
税法上、「温度15度において0.8017を超えない比重を有する炭化水素油」が揮発油として課税対象と定義されています。

この定義は専門的で難しく感じますが、「自動車用ガソリンに該当する油」と考えるとわかりやすいでしょう。
灯油もこの税法上の揮発油の定義に当てはまりますが、実際には課税対象外(免除)です。

地方揮発油税

地方揮発油税は、ガソリンに課される地方税で、1リットルあたりの課税額は4.4円です。
揮発油税と名前は似ていますが、地方揮発油税は、国がいったんまとめて徴収したガソリン税の一部を、地方自治体に分配するという仕組みになっています。

この仕組みは「地方譲与税」と呼ばれ、都道府県や市町村に配分されます。
つまり、ガソリン税の税収の一部が地方の道路維持や公共事業に充てられるように、国を介して配分される仕組みになっているのです。

暫定税率

暫定税率とは、揮発油税・地方揮発油税の税率に上乗せする形で課されている特例的な税金のことです。
1974年に第一次オイルショックによる財政悪化や道路整備財源の不足に対応するため、臨時の増税措置として導入されました。

1リットルあたりの課税額は25.1円で、その内訳は揮発油税に24.3円/リットル、地方揮発油税に0.8円/リットルとなっています。

当初は「2年間の時限措置」としてスタートした暫定税率ですが、その後2~5年ごとに延長と引き上げが繰り返され、現在も事実上ガソリン税の一部として残り続けています。
「暫定」という名称とは裏腹に、50年近く上乗せ状態が続いているため、近年では法律上「当分の間税率」と呼び替えられましたが、よく目にするニュースなどでは依然として「ガソリン暫定税率」と呼ばれることが多くなっています。

ガソリン税が導入されてからこれまでの経緯

ガソリン暫定税率の導入から、昨今の廃止にいたるまでにはさまざまな経緯があります。
その歴史的な経緯を振り返ってみましょう。

1953年(昭和28年):揮発油税の導入

道路網の整備のための財源を確保するために導入。

1955年(昭和30年):地方揮発油税の導入

ガソリン税収の一部を地方自治体へ振り向けるため導入。

1974年(昭和49年):暫定税率の導入

オイルショックやインフラ需要を背景に、ガソリン税に一時的な上乗せとして導入。
当初は「2年間の臨時増税」でしたが、延長を重ね、結果として近年と同じ合計53.8円(一般税率28.7円+暫定税率25.1円)に達しました。

2008年(平成20年):暫定税率の一時失効

暫定税率を延長するための法律案が期限までに国会で可決されず、2008年3月31日をもって一時失効。
その結果、2009年の4月からガソリン価格は暫定税率分だけ大幅に値下がりし、いわゆる「ガソリン値下げ」となりました。

当時はガソリンスタンドに長蛇の列ができるなど、一時的な混乱も発生したのです。
しかし、2009年5月1日から再び暫定税率が適用され、ガソリン価格が元に戻りました。

2009年(平成21年):ガソリン税の一般財源化

ガソリン税収は一般財源となり、道路以外の用途にも使用。

2024年(令和6年)〜:暫定税率廃止の正式合意

世界的な原油高や円安の進行でガソリン価格が急騰。
ガソリン暫定税率の廃止をめぐる議論が再び活発になりました。
政府がガソリン補助金を出すまでの事態になったのです。
その後、与野党を含めた協議が続き、最終的に2025年10月末にはガソリン税の暫定税率(25.1円/リットル)を同年12月31日で廃止することで正式合意しました。
50年に及ぶ暫定税率がついに廃止される方向となり、ガソリン税制は大きな転換点を迎えたのです。

ガソリン税は私たちの生活にどう影響する?

ガソリン税とは?暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!

ガソリン税は一見、車を運転する人だけの問題のように思われがちですが、実際には私たち全員の生活コストに直結する税金です。
ここでは、「個人」と「法人」に分けてガソリン税変動の影響を見ていきましょう。

個人

個人の場合、主に次の2点が大きな影響を受けます。

食料品や医療・日用品などの価格の変動

物流コストの多くは燃料費が占めており、ガソリン税の引き上げで燃料費が増えれば、運送会社は運賃に転嫁せざるを得ません。
その結果、スーパーやドラッグストアに並ぶ商品の価格も上昇しやすくなります。

逆に暫定税率が廃止されガソリンが安くなれば、物流コストが下がり、食料品や医療・日用品などの価格も下がる可能性が高くなります。

通勤・通学・地方生活への影響

車が生活必需品となっている地域では、ガソリン価格の高騰はそのまま家計負担の増加につながります。
毎日の通勤・送迎・買い物などで車を使う世帯では、ガソリン税の増減が月々の支出に直接響きます。

暫定税率の廃止によりガソリン価格が1リットルあたり25.1円下がれば、年間で数万円単位の負担が減らすことができるでしょう。

法人

法人にとってもガソリン税は経営コストの一部です。
主に次の2点で影響が出てきます。

燃料費の変動

運送業や配送業、営業車両を多く使う企業の場合、ガソリン税が上がれば燃料費が増え、利益が減少し、商品やサービス価格への転嫁を検討せざるを得なくなります。
特に営業範囲が広く移動距離が長い企業ほど、「ガソリン代が上がって配送コストが出せない」「サービスエリアを縮小せざるを得ない」など、ガソリン価格高騰によるインパクトが大きくなりがちです。

逆にガソリン税が下がれば、運送・配送業者や社用車を使う企業の燃料費負担が軽くなります。
燃料費が安くなれば、企業はその分を人件費やサービス向上にあてられる可能性もあり、その分企業の利益率向上に直結するでしょう。

仕入れ価格の変動

ガソリン税の変動は、自社で使う車の燃料費だけでなく、企業が仕入れる原材料や商品の価格にも影響します。
ガソリン税の変動によりガソリン価格が上がり、輸送コストが上がれば、メーカーや卸売業者は商品の出荷価格にその分を上乗せせざるを得ません。

結果として、ガソリン税率引き上げ→運送料金上昇→商品価格上昇という物価上昇の連鎖が起きてしまいやすくなります。

一方で、ガソリン暫定税率が廃止され、ガソリン代が下がれば原材料や商品の仕入れ価格も安定し、商品価格を上げる必要もありません。

ガソリン暫定税率廃止で私たちの生活はこう変わる!

ガソリン税の暫定税率が廃止されると、ガソリン価格は理論上、1リットルあたり25.1円下がります。
その結果、車を日常的に利用する人にとっては燃料代の負担が軽くなり、家計のゆとりにつながります。

たとえば、毎月約60リットル程度のガソリンを使う場合(毎日片道30分の自動車通勤をされている場合)、1リットルあたり25.1円安くなれば、月に約1,500円程度、年間では2万円近い負担減となります。
ガソリンの利用量が多い世帯や企業であれば、そのメリットはさらに大きくなるでしょう。

また、ガソリン価格の低下は物流コストの低下につながるため、食品や日用品など幅広い商品の価格上昇を抑える効果も期待できるでしょう。
ガソリン税は私たちの生活コストに直結しているだけに、この25.1円の減税インパクトは小さくありません。

もっとも、暫定税率を廃止すると国と地方を合わせて年間約1兆円規模の税収減になるとされており、その穴埋めのために走行距離課税など別の形での負担が検討される可能性もあります。

「ガソリンは安くなったが、別の税金が増えた」という展開も考えられるため、今後の税制全体の議論にも注意が必要です。

まとめ

ガソリン税と暫定税率は、単なる財政や税制の話ではなく、私たちの生活費や物価にまで影響する重要な制度です。
暫定税率の廃止によって当面はガソリン代や物流コストの負担が軽くなると期待されますが、その裏側で新たな税制や財源確保策が検討されていくことも予想されます。

ガソリン税は、私たちの暮らしに密接に関わる存在だからこそ、自分ごととして「その後どう変わるのか」、その行方について引き続き注目していきましょう。

(提供元:フィンクロス・デジタルFXD

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