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デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

2024/11/7

デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

お金といえば紙幣や貨幣、クレジットカードが一般的ですが、近年は電子マネーの普及が進んでいます。さらに今後導入が見込まれているのが、デジタル円です。 本記事では、デジタル円とはどのようなものか、日本ではいつから導入されるのかを解説します。メリットや注意すべき点を把握し、デジタル円の導入に備えましょう。

デジタル円とは?

デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

まずはデジタル円とは何なのか、基本的な知識を理解しましょう。近年普及が進んでいる電子マネーとの違いについても解説します。

日本銀行が発行する中央銀行デジタル通貨のこと

各国の中央銀行が発行するデジタル通貨を、中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)といいます。日本の場合は日本銀行が発行する日本円を指すので、「デジタル円」と呼ばれることもあります。中央銀行デジタル通貨は、紙幣や硬貨といった現物を持たず、データとしてのみ存在する通貨です。
デジタル円などの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の要件としては、以下の内容が日本銀行のホームページに記載されています。

  1. デジタル化されていること
  2. 法定通貨建てであること
  3. 中央銀行の債務として発行されていること

出典元:日本銀行「中央銀行デジタル通貨とは何ですか?

中央銀行デジタル通貨(CBDC)は日本をはじめ各国でも導入への議論や実証実験が行われていますが、一方でセキュリティ面など多くの課題も残っています。日本においては、現時点では日本銀行から、中央銀行デジタル通貨を発行する計画はないと発表されていますが、さまざまな環境変化に的確に対応できるよう必要な準備を進める方針と打ち出しています。今後すぐに使用が開始されるわけではありませんが、社会のデジタル化が進む近年、「デジタル円」の導入の検討は進んでいくことが予想されるでしょう。

電子マネーとの違い

デジタル通貨といえば、電子マネーが一般的です。電子マネーは、現金を電子化して利用できるようにしたもので、日本の電子マネーの場合は法定通貨である日本円をもとに民間事業者が提供しているサービスになります。そのため、国が発行する法定通貨そのものではありません。

デジタル円は、現物の紙幣や硬貨のデータ版であるので、現金と同じ様に利用できると考えられています。しかし、電子マネーはサービスと提供している民間事業者のサービス内での使用のため、チャージできる金額に条件や、加盟店や提携の店舗でしか使えないという制限があります。

暗号資産(仮想通貨)との違い

暗号資産は国家に依存せずに流通する「ブロックチェーン」というシステムを用いて、インターネット上でやりとりができるデジタル通貨です。中央銀行が発行するデジタル通貨である「デジタル円」と異なり、国の中央銀行が発行したものでなく、国家がその価値を保障するものではありません。

暗号資産は、需要と供給のバランスによって価値が変化します。暗号資産での決済が可能な店舗で使用することもできますが、値動きが激しいため、投資目的で所有している人が多いデジタル通貨です。

デジタル円が日本に導入されるのはいつから?

デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入はかねてから各国で課題とされており、日本でも導入の検討が進んでいます。日本の中央銀行デジタル通貨「デジタル円」が、実際にいつから開始されるのか、近年の動向をチェックしてみましょう。

2021年4月から実証実験を開始

前述のとおり、日本ではいつからデジタル円が開始されるかは具体的には決まっていません。
しかし、日本銀行は2021年4月から2022年3月までの1年間、中央銀行デジタル通貨(CBDC)いわゆる「デジタル円」の実証実験(概念実証フェーズ1)として、システム的な実験環境構築のもと、基本機能とする決済手段の検証を行いました。2022年4月から2023年3月には概念実証フェーズ2に移行しており、周辺機能を追加したデジタル円の実現可能性や課題の検証を行っています。

そして、2023年3月には、民間事業者への説明会も開催され、同年4月から2024年の4月までの1年間、概念実証では検証していない技術的検証を行うこと、民間事業者の技術や知見を反映させる目的として「パイロット実験」が行われました。

出典元:日本銀行「中央銀行デジタル通貨(日本銀行ホームページ)

他の国の検討や取組み状況は?

海外での検討状況については、EUでは中央銀行デジタル通貨の調査フェーズが終了し、2023年から準備フェーズに入っています。

一方でアメリカは中央銀行デジタル通貨の導入について、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策や金融システムへの影響を考慮する点などから、反対意見が多くみられています。しかし、ドルの世界的役割の観点から、実用化が進んでいるユーロなどの他通貨への置き換えなど、導入しない場合の懸念材料もあるため、引き続き検討されていくでしょう。

その他、中国では世界の中でも先んじてデジタル人民元の実証実験の範囲を拡大しており、カンボジア、バハマ、ナイジェリアなどの新興国ではすでに中央銀行デジタル通貨が正式発行されています。

デジタル円を日本で導入する目的は?

デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

いつから開始されるかは不明なものの導入の動きがみられるデジタル円ですが、その目的を見てみましょう。

社会のデジタル化・キャッシュレス化に対応する

デジタル円の導入は、社会のデジタル化、キャッシュレス化に対応するという目的があります。日本だけでなく世界中でデジタル化、キャッシュレス化は進んでおり、お金のやり取りに大きく役立っています。

お金のデジタル化やキャッシュレス化が遅れることでお金を得られる機会の損失につながる、決済できない可能性が増えるなどの恐れがあるため、今後導入は必須ともいえるでしょう。

各国が通貨のデジタル化を検討している

中央銀行デジタル通貨は日本だけでなく各国が導入を検討しています。他国と足並みを揃えるためにも、デジタル円の導入が検討されているのです。

中央銀行デジタル通貨の発行が開始されると、海外での決済で両替や換金などの手間がかからなくなります。個人では旅行や留学中の買い物がしやすくなる、企業間の取引では海外での事業がスムーズになるといったメリットがあります。

現金の発行や輸送のコストが削減できる

デジタル円には発行や輸送などの手間がないため、コストを削減できるでしょう。紙幣や貨幣の場合、発行や輸送といったさまざまなコストがかかります。また、ATMのような店舗での管理が必要ないため、保管にかかる費用や人件費などの削減ができる可能性があります。

脱税やマネーロンダリングを防げる

マネーロンダリングは不正に得た資金の出所を隠すために行われますが、デジタル円は取引の透明性に優れています。また、デジタル円は不正な資金の流れを把握しやすく、疑わしい取引を迅速に検出する仕組みを整えてくれます。

匿名性が低く、資金の移動を簡単に追跡できるため、犯罪資金の元にもなりマネーロンダリングがしにくくなるのです。

デジタル円が日本で導入された場合

デジタル円は日本でいつから導入される?目的やメリットなどをわかりやすく解説

デジタル円が導入されると、どのようなメリットや注意すべき点があるのかを見てみましょう。

デジタル円を導入するメリット

現金を持ち運ぶ必要がなくなる、お金の管理が楽になるなど、デジタル円ならではのメリットを見てみましょう。

現金を所持しなくても買い物ができる

電子マネーの普及により、現金での支払いは減少傾向にありますが、デジタル円が導入されるとその傾向はさらに加速されるでしょう。支払いはスマホやカード一枚で済むため、現金を持っていなくても買い物ができるようになります。現金や電子マネーの限度額が足りなくて買い物ができないということがなくなるため、スムーズに買い物ができるでしょう。

いつも持ち歩くスマホだけ、またはカード一枚だけを持って外出できるので、財布を持つ必要がなくなります。荷物を減らせる、忘れ物や落とし物、盗難のリスクを減らせるといったメリットも考えられます。

支出の管理がしやすい

デジタル円が導入されるとお金の動きを一元的に記録することができるため、支出の管理がしやすくなります。毎回家計簿をつけたり、会計ソフトに手入力したりする手間がかからず、日々の家事や仕事の業務が簡素化されます。

お金の動きが把握できればカードの不正利用などにも気づきやすくなるだけでなく、無駄遣いを見直して節約や貯金がしやすくなるといったメリットもあります。

支払いや入金の手数料の低額化が予想される

デジタル円の利用には手数料の低額化が予想されるため、給料の振り込みや公共料金の支払いといった違う口座への入金などで手数料の負担が減るでしょう。手数料は数百円程度ではありますが、支払いが多かったり企業間での決済が多かったりすると大きな支出になってしまいます。

デジタル円は支払いや入金の手数料の低額化が予想される点から、今後給料や取引先への支払いなどでも利用される可能性があるでしょう。

デジタル円を導入で注意すべき点

デジタル円が発行された場合の注意点も確認しておきましょう。

個人情報や企業情報の匿名性が失われる

デジタル円はお金のやり取りがすべて記録することができるため、個人情報や企業情報の匿名性が失われるデメリットがあります。

セキュリティに問題が発生した際に個人情報、企業情報が外部に流出する危険性もあり、強固なセキュリティ対策が課題です。

災害時や障害発生時に使えなくなる可能性がある

デジタル円はスマホやカード、専用の機器で決済を行うため、災害やシステム障害によってインターネットなどの通信が使えなくなった場合に決済ができなくなる可能性があります。

災害時に現金を持たず避難した場合、デジタル円を持っているのに食料などの買い物ができなくなるかもしれません。自然災害が多い日本では、この問題にどう対処していくかをよく検討する必要があります。

まとめ

デジタル通貨は日本だけでなく海外でも導入が検討されており、具体的な検証段階や、新興国においては正式発行に入っている国もあります。

デジタル円にはお金の管理が楽になるなどのメリットがある一方、セキュリティ面や、災害時などに使えなくなる可能性があるなどの問題が残されています。 今後もデジタル円の導入にどのような動きがあるか注目していきましょう。



著者/古賀 清香
2級FP技能士
広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。

(提供元:Mattrz四国アライアンス

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