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宇宙界隈ちょっと気になる話

Vol.02 人の体、宇宙でどうなる?

2025/9/2

宇宙界隈ちょっと気になる話 vol.02 人の体、宇宙でどうなる?

私たちは、広い宇宙の中に存在する小さくて美しい「地球」という星に住んでいます。
「宇宙に行ったことがある」「生きているうちに宇宙に行くぞ」という地球人が少しずつ増えてきた今、はるか彼方の星々に暮らす宇宙人たちは、「あの青く光る星に行ってみたい」と思っているかもしれません。あるいは、すでに地球に来たことがある宇宙からの訪問者もいるかも...。
身近になりつつある宇宙について、「気になること」を探ります。

星が輝く夜空を見上げながら、「いつか宇宙に行ってみたいな...」と思うことはありませんか?けれど、どうやらそこは空気もない、重力もない厳しい環境のようです。宇宙に行くと、体はどんな影響を受けるのでしょう?数ヵ月もの間、宇宙で過ごす宇宙飛行士たち。その体について調べてみました。

■多くの人が苦しむ「宇宙酔い」

宇宙に行くと、多くの人が宇宙酔いを経験します。食欲がなくなり、頭痛、吐き気が生じ、嘔吐してしまうこともあるのだそうです。原因は、耳の奥の内耳にある「前庭器官」が、重力センサーの役割を果たさなくなったため。地球上では、この前庭器官が体のバランスを取るためのさまざまな情報を集めて脳に送っているのですが、重力がなくなることによって自分の体の位置や動きなどの情報が通常と異なるため、脳が混乱して宇宙酔いを引き起こすのです。急に気持ちが悪くなったり、突然嘔吐することもあるようですが、数日のうちに脳が慣れて適応し、症状は治まってきます。

宇宙酔いには個人差があり、宇宙酔いをしない人もいます。また、車酔いや船酔いをする人が宇宙酔いをするとも限りません。昔は、宇宙酔いにならないように回転椅子に座ってぐるぐる回される訓練がありましたが、宇宙酔いとはあまり関係がないことがわかったため、現在は行われていないそうです。

■無重力では血液の流れが変わる

宇宙からメッセージを送る宇宙飛行士さん。その顔が、打ち上げの時に比べてまるくパンパンになっているように見えませんか?地球上では重力によって下の方に多く流れている血液や体液が、無重力状態では上半身にも均等に流れるようになります。そのため、顔がむくみ、鼻も粘膜もむくむため鼻づまりの状態になってしまうのだそう。数週間すると体が慣れ、体液のバランスがとれて、むくみもなくなります。

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■宇宙に行くと、老化が進む!?

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無重力の世界では、足腰で体を支える必要がなく、移動するのに歩く必要もありません。宇宙に長く滞在していると、筋肉が弱くなり、骨のカルシウムが溶け出して骨密度が低くなり、折れやすくなることも。筋肉が弱くなる速度は寝たきりの人の2倍、骨の減る速さは骨粗しょう症の人の10倍といわれていて、すごいスピードで老化が進んでしまうのだそうです。これを防ぐため、宇宙飛行士は毎日約2時間の運動が義務づけられており、トレーニング機器で体を鍛えています。無重力状態でのトレーニングは特殊で、器具も工夫されているそうです。
また、骨が減るのを防ぐための薬の研究も行われていて、宇宙飛行士たちが実際に薬を飲み、その効果を検証しています。

■放射線による被ばくもある

地球は約47億年前に誕生して以来、数10億年かけて地表から数10㎞上空まで大気の層を作りました。大気には呼吸をするための酸素があり、宇宙からの紫外線や放射線から生き物を守るバリアの役割も担っており、生き物に欠かせない環境を作っています。

大気のない宇宙空間には、「宇宙線」と呼ばれる高エネルギー電磁放射能線が飛び交っていて、宇宙飛行士は地上よりも高いエネルギーの放射線を受けます。エネルギーの高い放射線は、宇宙船や宇宙服を貫通して人体にまで達するため、がんの発生リスクが高くなるなど健康面に影響を及ぼします。

宇宙放射線の量が大きくなり、危険な状態が予想される場合には船外活動を中止したり、被ばく量が一定レベルを超えないように管理して、宇宙飛行士の健康を守っています。

■密室での生活は、ストレスもたまる!

国際宇宙ステーションでは、限られた空間の中で長期間にわたって共同生活をしながら、高度なミッションを行います。常に機械騒音のある狭い空間で、プライバシーが制限された状態で過ごす毎日は、それだけでも疲れます。宇宙飛行士はいろいろな国から参加しているため、言葉の壁や文化の違いがストレスになることもあるでしょう。失敗の許されないミッションへの大きなプレッシャーに加え、仲間との人間関係を良好に保つための気遣いも必要です。さらに、家族に会えない、好きな物を食べれらない、お風呂に入れないなど、ストレスの要因はたくさんあります。

そのストレスを少しでも軽減するため、家族とテレビ電話ができる環境を作ったり、宇宙食を充実させるなど、小さな楽しみを見つけられるように工夫されています。自由時間には本を読んだり、DVDで映画を観たり、窓から美しい宇宙を眺めることもストレス解消になっているようです。

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■地球帰還時に"立てない"のは重力のせい

宇宙飛行士が地球に帰ってくると、立ちくらみを起こすことがよくあります。これは、宇宙で過ごしていると、骨や筋肉だけでなく血液の量も減少すること、全身を巡っていた血液が重力によって下に下がり、血液を心臓から頭まで届けることが難しくなることが原因です。地球に帰る前には、水分と塩分を補給して血液量を増やす必要があります。

また、地球に帰還した時点では、耳の奥の重量力センサーが正しく働いていないため、すぐに立ち上がることができません。座ったまま移動したり、支えてもらってやっと立てるということが多いようです。1~2時間すると体が重力に慣れ、元気な笑顔を見せてくれるようになります。

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