経済
暮らしを支える重要資源
レアアースとは?私たちの生活との関係や注目すべきポイントを分かりやすく解説
2026/9/2

ニュースなどで「レアアース」という言葉を目にする機会が増えています。
そもそもレアアースとはどのようなもので、なぜこれほど注目されているのでしょうか。
この記事では、近年注目を集めるレアアースとは何なのか、その主な用途や注目される背景、私たちの生活への影響、日本の取組みなどについて分かりやすく解説します。
レアアースとは

レアアースとは、ネオジムやセリウムなど17種類の元素の総称です。
日本語では「希土類」と呼ばれ、レアメタルの一種に分類されます。
名前に「レア」と付いていますが、必ずしも地球上に存在する量そのものが少ないわけではありません。世界各地に存在するものの、まとまった量を効率よく採掘できる場所は限られています。また、性質のよく似た元素を分離・精製するには、高度な技術とコストがかかります。
つまり、レアアースは「存在する量が少ない資源」というよりも、「経済的に採掘・精製できる場所が限られた資源」といえます。
レアアースの主な用途
レアアースは、優れた磁力や耐熱性、発光性能などの特性を持ち、製品の小型化や高性能化、省エネルギー化を支える重要な材料です。
主に次のような製品や設備に使われています。
- スマートフォンやパソコン
- 電気自動車のモーター
- エアコンや冷蔵庫
- 風力発電設備
- 産業用ロボット
- 医療機器や光学機器
- データセンターなどで使われる各種機器
また、半導体の製造工程では、セリウムが精密研磨などに利用されています。近年はAIの普及によって半導体やデータセンター関連設備の需要が拡大しており、それらを支える材料の一つとして、レアアースの重要性も高まっています。
このように、レアアースは身近な製品から最先端の産業まで、幅広い分野を支えています。
レアアースが近年日本で注目されている理由

レアアースは以前から、自動車や家電、電子部品など、日本の主要産業を支えてきました。近年さらに注目されている背景には、EVやAIなどの普及による需要の拡大に加え、供給が特定の国に偏っているという問題があります。
現在日本では必要なレアアースの多くを海外(主に中国)からの輸入に頼っていますが、レアアースが不足してしまうと、さまざまな製品の生産ができなくなってしまいます。
これまでも輸出規制や国際情勢の変化によってレアアースの供給が滞り、何度も日本企業の製品の生産に影響が出ています。
2025年には、中国が一部のレアアースについて輸出管理を強化し、輸出許可に時間を要するケースが発生しました。こうした供給網の混乱が世界の自動車産業に広がり、日本でも自動車メーカースズキが『スイフト』の国内生産を一時停止。2026年にも、一部の日本企業を対象とした輸出管理を強化するなど、供給が不安定な状況が続いています。
このように、レアアースは日本の産業に欠かせない一方で、海外から安定して調達できるとは限りません。
経済安全保障の観点からも、必要なレアアースをどうやって確保するかが重要な課題となっています。
レアアースの供給不足は私たちの生活にどう影響する?

レアアースはモーターやセンサーなど、私たちにとって身近な製品の性能を左右する重要な部品に含まれています。
そのため、供給が滞ると、製品の生産や価格を通じて、私たちの生活に次のような影響が出る可能性があります。
自動車や家電などの納期遅延・品薄・値上がり
レアアースは、自動車やエアコン、冷蔵庫など幅広い製品に使われている材料です。供給が不足すれば、製品の品薄につながる可能性があります。
代わりの材料や新たな調達先の確保にコストがかかれば、製品価格や修理費に影響することが考えられます。
EVや先端産業への影響
レアアースは、EVやハイブリッド車、風力発電設備、省エネ家電などにも欠かせません。
さらに、半導体の製造工程やデータセンターを支えるさまざまな機器にも関わるため、供給不足が長期化すれば、幅広い産業でコスト上昇や生産への影響が生じる可能性があります。
国内企業の生産縮小や雇用への影響
レアアース不足で自動車や家電の生産が減少すると、その影響は部品メーカーや物流会社など、まわりの企業にも広がる可能性があります。
不足が長引けば、工場の稼働が低下したり、企業が新規採用や設備投資を見送ったりする可能性もあります。
その結果、雇用や地域経済にも影響が波及することが考えられます。
レアアースの安定供給に向けた日本の取組み

日本では、レアアースを安定して確保するために、調達先の多様化や備蓄、国内資源の開発、リサイクル、使用量を減らす技術の開発など、さまざまな取組みを進めています。
レアアースの調達先や精製拠点の分散
日本は、中国など特定の国に過度に依存しないよう、オーストラリアなどの鉱山への出資や長期契約を進めています。
また、採掘する国だけでなく鉱石からレアアースを分離・精製を行う国も増やし、特定の国から供給が滞っても対応できる体制づくりが重要になっています。
レアアースの備蓄強化
供給が一時的に途絶する事態に備えて、日本ではレアアースなどの重要鉱物の国家備蓄が行われています。
備蓄により、輸入が一時的に滞った場合にも、国内産業への影響を緩和することが期待されます。
ただし、備蓄できる量には限りがあるため、ほかの対策も必要です。
南鳥島周辺の海洋資源開発
南鳥島周辺の海底には、レアアースを多く含む「レアアース泥」が存在することがわかっており、輸入に頼らず、日本で確保できる資源として期待されています。
2026年には、南鳥島沖の水深約6,000mの海底からレアアース泥を船上まで引き上げることに成功しました。
ただし、深い海から大量に採るには、技術やコストなどの課題が残っています。
すぐに輸入を代替できる段階ではありませんが、将来の安定供給につながる国産資源として期待されています。
レアアースの再利用
使用済みの家電や自動車、スマートフォンなどからレアアースを取り出し、再利用する技術の開発も進められています。
このように使い終わった製品に含まれる有用な金属資源は、「都市鉱山」と呼ばれ、再利用が増えれば、海外への依存を抑え、国内で資源を循環させることにつながります。
一方で、レアアースを使用した製品を集めたり、分解したりするには費用がかかるため、より安く回収する方法の検討が課題です。
レアアース使用量を減らす技術・代替材料の開発
レアアースをできるだけ使わずに同等の性能を実現する技術や、別の材料で代替する技術の開発も進められています。
たとえば、EVなどに使われる高性能磁石では、希少性の高いレアアースの使用量を減らしたり、使用せずに高い性能を実現したりする技術の開発が進められています。
ただし、代替材料として実際に使われるかどうかは、性能や耐久性、価格などの条件を満たす必要があるため、すぐにすべてを置き換えるのは難しいのが現状です。
レアアースは私たちの生活と経済を支える重要資源

レアアースは、普段は目にする機会が少ない資源ですが、スマートフォンや自動車、家電をはじめ、半導体関連やAIの普及を支えるさまざまな機器・設備にも関わる重要な資源です。供給が止まると、商品の値上がりや品薄につながり、私たちの生活にも影響が及ぶ可能性があります。
今後、ニュースでレアアースという言葉を見かけたら、自動車や家電など、私たちの暮らしにも関わる問題として、その背景にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
(提供元:株式会社トビバコ
)
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