マネー
カネールくんのハピマネの種
Vol.22 インフレ・デフレって何?
2024/11/19
カネールくんのハピマネの種 ~プロローグ~ カネールくんって?
登場人物:カネールくん、ウタちゃん(小学6年生)、イブキくん(中学2年生:ウタの兄)
リビングでおしゃべりするウタとイブキ
ウタ
ねえ、お兄ちゃん。インフレ・デフレってどういう意味?
イブキ
急に何?
ウタ
さっきテレビのニュースで日本はデフレが長く続いたけど、今はインフレなんだって。何それ?
イブキ
インフレはモノの値段が上がること、デフレは値段が下がることだよ
ウタ
物価高のこと?
イブキ
まあ、そうかな。最近なんでも高くなってるもんな
ウタ
インフレって嫌ねー。ずっとデフレだったらいいのに
イブキ
いや、デフレが続くのはよくないんだって。学校で習った気がする
ウタ
どういうこと?
BOM!
カネール
何かお金のことで知りたいことがあるカネール?
ウタ
わー、びっくりした!あなたは誰?
カネール
幸せの種を届ける青い鳥、カネールだネール
イブキ
幸せの種って?
カネール
君たちの将来に役立つお金の知識だネール
ウタ
インフレとデフレの話をしてたの。
モノの値段が高くなるのがインフレで、安くなるのがデフレなんでしょ?
カネール
そうだネール。それは『お金の価値は変わる』っていう話だネー。
100円は100円の価値があって、80円になったり120円になったりはしない。でも、数年前は100円で買えた消しゴムが、今は150円になり、100円では買えなくなっている。
同じ製品なのに、値段が変わってしまった。これは、モノの価値が上がった、つまりお金の価値が下がったということなんだネール
イブキ
お金の価値か下がった‥‥?それがインフレなの?
カネール
そうだネー。詳しく説明するネール
■インフレとデフレ
インフレは「英語のインフレーション(inflation)、デフレはデフレーション(deflation)を略した言葉で、インフレは物価が継続的に上昇する状態が2年以上続くこと、デフレは物価が継続的に下落する状態が2年以上続くことをいいます。
インフレ・デフレは世の中の景気に関係していて、景気がいい時はインフレに、景気が悪い時にはデフレになります。
◎インフレ
景気がよい時には、物やサービスの需要が高まり、売れ行きがよくなって企業の収益が上がり、働く人のお給料が上がって、さらに物やサービスの購入が増えます。人気の高い物やサービスは供給量が不足し、需要と供給のバランスをとるため価格が上昇します。
<インフレには、良いインフレと悪いインフレがある!>
インフレによって価格が上がるということは、モノがたくさん売れて、それを作っている企業が多くの利益を得て、働く人のお給料が上がり、人々の消費意欲が増して景気がよくなっている状況です。
物価とお給料が同時に、年2~3%でゆるやかに上がっていく状態が「良いインフレ」です。賃金の上昇に伴って個人の生活にゆとりが生まれて消費が伸び、企業の利益が増えることで事業を拡大したり、雇用を増やすこともできます。雇用が増えれば社会全体が豊かになり、経済成長が見込まれます。
しかし、景気が悪く、賃金が上がらず消費者が思うようにお金を使えない中、物価だけが上がる「悪いインフレ」もあり、「スタグフレーション」と呼ばれます。景気の停滞を意味する「スタグネーション(stagnation)」と「インフレーション」を組み合わせた言葉です。収入が増えず支出のみが増えるため、家計が圧迫され、生活に大きな影響を受けます。
日本では1970年代に「オイルショック」が起きました。景気が停滞する中、中東戦争により石油価格の高騰に加えて供給量が制限されました。企業の生産活動や雇用が維持できず、働く人の賃金が下がる中、生活必需品が品薄になって物価が上昇し、スタグフレーションが起きたのです。
◎デフレ
景気が悪い時には、物やサービスの購入を控えるため、売れ行きが悪く企業の収益も悪くなります。働く人のお給料も下がり、お金を使うことを控えるようになるためモノが余り、さらに価格を下げて売らざるを得なくなります。
<デフレの悪循環「デフレスパイラル」>
デフレになるとモノが安くなるので、消費者にとってはうれしいことのように思えます。しかし、デフレが続くと「安くなっているモノでも買えない」という消費者の事情があり、その背景には働く「お給料が減っている」という事情があり、「賃金を上げられない」という企業の経営状況があります。少しでも収益を上げようと価格を値下げし、さらなる売上・利益の減少につながります。この悪循環を「デフレスパイラル」といいます。
イブキ
今、すごくいろんなものが値上がりしてるけど、日本はインフレに向かってるの?
カネール
日本は約30年もの間、デフレの時代が続いていたんだネール。
いろんなものが安く買えた時代が続いたけど、その分、企業は利益が減り、それを補うために人件費を抑えなくてはならなかった。
働く人のお給料もなかなか上がらなかったんだネー。でも、その間、海外では物価も賃金も上がって、経済的に豊かになっていったんだネール
ウタ
じゃあ、今はなぜ物価が上がってるの?
カネール
コロナ禍が収束して世界経済が動き出した2022年、原材料や物流価格が値上がりし、さらにロシアとウクライナの戦争によって小麦やエネルギーの値段が高騰した。そして円安が一気に進み、1ドルが100円から150円になった。
1,000円で買えていた10ドルのモノが、1,500円出さないと買えなくなってしまった。日本は輸入に頼っている部分が大きいので、コストが上昇して物価が上がっているんだネール
イブキ
そうか‥‥。生産コストが上がると製品の値上げをしなくちゃならない。値上げしたら売れない。すると会社が儲からないから給料も上がらない‥‥
カネール
日本全体で何とか賃金を上げて、景気をよくして、良いインフレにしていこうという方向に向かっているんだネー
イブキ
インフレかぁ‥‥。困ったなぁ
ウタ
どうしたの?
イブキ
ゲームを買おうと思ってお小遣いを貯めてるんだけど、値上がりしちゃうってことだよね?
カネール
2%のインフレだと、1,000円で買えたものが1,020円になるネー。それがお金の価値が下がるってことなんだネール
ウタ
それは困る‥‥。そうだ、お小遣いも値上げしてもらおう!
イブキ
いろんなものが値上がりして、ママもピリピリしてる。ちょっと様子見てからお願いしてみよう
ウタ
そうだね
イブキ
カネールくん、今日はありがとう。またいろいろ教えてね
カネール
わかったネール。また一緒に勉強したいネール!
ウタとイブキに手を振り、ハッピーブルーバードランドに帰っていくカネール。修行は続く
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