経済
宇宙界隈ちょっと気になる話
Vol.07 再び、人類を月へ!
2026/4/24

私たちは、広い宇宙の中に存在する小さくて美しい「地球」という星に住んでいます。
「宇宙に行ったことがある」「生きているうちに宇宙に行くぞ」という地球人が少しずつ増えてきた今、はるか彼方の星々に暮らす宇宙人たちは、「あの青く光る星に行ってみたい」と思っているかもしれません。あるいは、すでに地球に来たことがある宇宙からの訪問者もいるかも...。
身近になりつつある宇宙について、「気になること」を探ります。
アポロ11号が月面着陸に成功し、人類が初めて月に降り立ったのは、1969年7月のこと。NASAが1961年から1972年にかけて行ったアポロ計画では、計6回の有人月面着陸に成功しました。それから半世紀が過ぎ、人類は再び月に降り立ち、月面に活動拠点を作り、その先の火星を目指そうとしています。

国際協力体制のもとで進む宇宙プロジェクト「アルテミス計画」は、2026年4月に重要なミッション「アルテミスⅡ」を実施。成功を果たしました。
■「アポロ」から妹「アルテミス」へ
アポロ計画終了後、宇宙の調査・研究は地球から400㎞の位置にあるISS(国際宇宙ステーション)を中心に行ってきました。半世紀を経て、2019年にアメリカのNASAは、月を生活拠点にして長期にわたって探査活動を行うための「アルテミス計画」を発表しました。
「アルテミス」は、ギリシャ神話に登場する太陽神「アポロン(アポロ)」の双子の妹、月の女神の名前。アポロ計画を引き継ぐ月の探査であること、そして初めての女性宇宙飛行士を月に送るという決意が込められています。
■アルテミス計画の目的は?
アルテミス計画の目的は、人類を再び月面に送り、長期滞在して持続的な探査活動を行い、将来の火星有人探査の足掛かりをつくることです。
そのためには、宇宙に安全に人を運ぶ機材や技術の開発、活動拠点となる施設の建設、氷や水など生活に必要な資源の発掘、未来の宇宙探査のための技術開発など、多くのミッションがあります。人類が宇宙で持続的に活動できる基盤を築くことで、地球から遠く離れた謎多き宇宙の真実に迫ることができます。
アルテミス計画は、平和的な目的で宇宙探査を目指すための基本ルールとして定めた「アルテミス合意」に、日本を含む60カ国以上の国が署名(2026年1月時点)している国際プロジェクトです。月面探査で得た情報や技術を、地球環境や資源の問題解決に役立てることも考えられています。
■未来に続く長期計画

アルテミス計画の要となるのが、宇宙飛行士や物資を運ぶ宇宙船「オリオン」、それを打ち上げるためのロケット「SLS(Space Launch System=スペース・ローンチ・システム)」です。
オリオン宇宙船は、緊急時脱出システム、乗員室、貨物室で構成されたカプセル型で、過酷な環境からクルーを守るよう設計され、21日間滞在できる生命維持装置を備えています。
SLSロケットは30階建てのビルを超える大型かつとても強力なロケットで、オリオンを宇宙に運んで月の周回軌道に載せる役割を担います。これらはNASAが、2011年に退役するスペースシャトルに代わる宇宙船として長年開発を進めてきたものです。
当初のアルテミス計画では、8年間の段階的なミッションが予定されていましたが、2022年にアルテミスⅠの打ち上げに成功したものの、月着陸船の開発が難航するなどの理由で計画が遅延。2年遅れでアルテミスⅡの打ち上げ準備が進んでいた2026年3月、アメリカNASAは「ロケットの打ち上げが、3年に1回のペースでは間隔が開き過ぎて、ミッションを支えるチームの技術や経験が難しくなる」との考えから、アルテミス計画の大きな方向転換を発表しました。人類の持続的な宇宙での活動を確立することを長期目標に掲げ、ロケットや宇宙船の標準化を行い、毎年1回、人類が月面着陸できることを目指すこととしました。
また、アルテミスⅣでは、月と地球の中継基地として、月の周回軌道に宇宙飛行士が長期間滞在する宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設が予定されていました。2030年に運用を終える国際宇宙ステーション(ISS)に代わって月や火星探査の基地となる予定でしたが、計画の変更によりゲートウェイの建設を一時停止。月の南極付近に月面基地を建設すると発表されました。

■2026年4月、「アルテミスⅡ」半世紀ぶりに月へ!
2022年11月16日には、オリオン宇宙船を搭載したSLSロケットの無人飛行試験「アルテミスⅠ」のミッションが行われました。人体への宇宙放射線の影響を調べるために人体模型などを搭載し、月の周回軌道にのって飛行する試験が行われ、オリオン宇宙船の性能を確認。
12月12日に大気圏に突入し、無事に太平洋上へ着水して宇宙船カプセルの回収に成功しました。無人飛行試験は、性能の確認と課題の整理に成果を上げ、次のミッションへの大きな一歩となりました。
そして2026年、宇宙飛行士が搭乗して月周回飛行を行う「アルテミスⅡ」のミッションを実施。天候不順、ロケットの不調などで何度も延期された後、4月1日、フロリダ州にあるケネディ宇宙センターからSLSロケットが打ち上げられ、半世紀ぶりに人類が月を目指して飛び立ちました。
今回、オリオンに乗って月に向かった宇宙飛行士は4人。宇宙船内の水や空気、温度を管理する生命維持、通信システム、大気圏再突入時の安全性など、実際に人が乗った状態で確認することを目的とし、月のまわりを飛行しました。宇宙飛行士たちは月の裏側を観察し、月面の写真を撮影するなど近距離で月の情報を集め、次なるアルテミスⅢの月面着陸ミッションに向けての探査を行いました。
帰路についたオリオンは、2,000℃を超える高温に耐えて大気圏を通り抜け、パラシュートを開いて減速し、カリフォルニア州の海に着水。10日間の飛行を終えて、無事に帰還しました。オリオンは地球から約40万7千㎞の距離に達し、アポロ13号が持つ「有人宇宙飛行の最遠到達距離」を更新する偉業を成し遂げたのです。

このミッションが成功により、「毎年、誰かが月に降り立つ」のが当たり前になる日に、一歩近づいたのは事実。日本人宇宙飛行士の活躍にも期待が高まりますね。
今夜見る月は、いつもよりちょっと近く見えるかもしれません。







