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年金いくらもらえる?

年金って結局いくらもらえるの?年金の平均額や計算方法を徹底解説

2022/6/22

年金って結局いくらもらえるの?年金の平均額や計算方法を徹底解説

「老後の生活に不安がありますか?」と聞かれれば、アナタは何と答えますか?

90年代の初頭にバブル経済が崩壊し、ゆうに30年以上も継続的に不景気だった日本社会において、将来を不安視する方はたくさんいます。おそらく、現代の日本国内で「老後にまったく不安はありません!」と胸を張って答えられる方は非常に少ないでしょう。

そんな老後の不安を払拭する制度として、日本を含む多くの国では「年金制度(老齢年金)」が存在します。とはいえ、年金制度はしばしば法改正のニュースを見聞きするケースも少なくないため、「年金はいつから支給されるの?」「結局いくらもらえるの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな疑問を持つ方に向けて、年金(老齢年金)の受給額や受給方法などをわかりやすく解説します。20代の新卒社会人から60代のシルバー世代に至るまで、年金制度の疑問を解消したい方は、当コラムをぜひご参照ください。

目次

■年金にはどんな種類があるの?受給方法は?
 ・「公的」じゃない年金制度もある?
 ・年金の受給方法は?
■ズバリ!年金(老齢年金)はいくらもらえる?
 ・年金を払わなくても大丈夫?
■年金の具体的な計算方法を教えて
■年金の金額を増やすことはできないの?
 ・企業が従業員向けに運用する年金に加入する
 ・個人向けの投資信託や私的年金を活用する
■「年金を過信しすぎないこと」の重要性

年金にはどんな種類があるの?受給方法は?

年金の具体的な金額を明示する前に、若年層の読者に向けて「公的年金の種類」について簡単に紹介しましょう。

令和4年の現在、日本の公的年金には主に「国民年金(老齢基礎年金)」と「厚生年金」の2種類が存在します。それぞれの概要や加入対象者は、以下の通りです。

公的年金の種類
国民年金(老齢基礎年金) 厚生年金
概要 ・すべての社会人が加入する年金制度
・老齢・障害・死亡により「基礎年金」を受けられる
・公務員や企業で働く会社員が必ず加入する年金制度
・国民年金にプラスして「厚生年金」を受けられる
加入対象者 日本国内に住む20歳以上60歳未満すべての方
(会社員や自営業、専業主婦など)
・厚生年金保険の適用を受ける企業で働く方
・公務員、私立学校教職員の方など
備考 対象者別に種類が異なる。
第1号被保険者:自営業や学生の方
第2号被保険者:会社員や公務員の方
第3号被保険者:専業主婦または主夫の方

あらゆる人(20歳~60歳未満すべての方)が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金で、公的年金は成り立っています。かつては、公務員や私立学校教職員の方などの方が加入する「共済年金」と呼ばれるものもありましたが、現在は厚生年金に統一化されています。個人が加入している制度によって、将来支給される年金が変化するのです。

例えば、フリーランスや専業主婦の方なら、公的年金は「国民年金のみ」が支給されます。一方、会社員や公務員のように、企業・事務所(厚生年金を納める事業所)で働いている方は、「国民年金と厚生年金」の2種類が支給される仕組みです。もちろん制度への加入が絶対条件ですが、わかりやすくいえば「国民年金は誰でも貰える!会社員や公務員はさらに厚生年金も貰える!」という認識で良いでしょう。

ちなみに、国民年金は対象者によって第1号や第2号など種類が変化します。種類によって保険料の納付方法こそ変化しますが、年金の受給額自体は変わりません。具体的な受給額は後で解説しますが、国民年金は自営業の方でも専業主婦の方でも、同じ金額を受給できます。

「公的」じゃない年金制度もある?

さて、カンの鋭い方なら「公的があるなら私的の年金制度もあるのでは?」と気付いたかもしれません。年金制度の中には、企業や金融機関が運営をする「民間の年金制度(私的年金)」が存在します。

制度によって加入条件や支給条件は異なりますが、この「私的年金と公的年金を合わせた金額」が、老後に支給される個人の年金額です。このように、国民年金、厚生年金、私的年金の3種類で構成されていることから、日本の年金制度を「3階建て構造(または公的年金のみで2階建て構造)」と称するケースもあります。

3階 私的年金
2階 私的年金 厚生年金
1階 国民年金(老齢基礎年金)
対象者 学生
自営業(フリーランス)
専業主婦(主夫)などの方
会社員や公務員の方

年金の受給方法は?

基本情報として、「年金がいつどうやって貰えるのか」についても解答しておきましょう。令和4年の時点で、年金が貰える年齢は、「原則65歳から」となっています。受給年齢が近づくと(約3ヶ月前)、日本年金機構から年金請求手続きの案内と、年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)が送付される仕組みです。手続き後、年金の支給が開始されます。ちなみに、役所に申請をすると年金を60歳からでも受給もできますが、支給が早まるぶん月の支給額も比例して減少する点は留意しておきましょう。

〇この項目のまとめ

  • 日本の公的年金には「国民年金」「厚生年金」の2種類が存在する。
  • 誰でも貰えるのが国民年金、会社員や公務員が上乗せで貰えるのが厚生年金。
  • 公的年金に加えて、企業や金融機関が運営する「私的年金」も存在する。
  • 年金が貰える年齢は原則65歳からで、受給年齢が近づくと手続き案内が届く。

ズバリ!年金(老齢年金)はいくらもらえる?

結論からいえば、年金の受給額は「納めた保険料」や「納めた期間」などの要因によって変化します。

おまけに、年金額は毎年のように改定が行われているため、「ズバリ!これだけ貰えます!」と明言するのが困難です。以下のように、厚生労働省のオフィシャルサイトでは「国民年金(満額)」と「厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)」が公開されているので、受給額の目安としてご参照ください。

年金(老齢年金)は月額いくらもらえる?
国民年金
老齢基礎年金(満額):1人分
厚生年金
(夫婦2人分の老齢基礎年金を
含む標準的な年金額)
令和4年度 64,816 円 219,593 円
令和3年度 65,075 円 220,496 円
令和2年度 65,141 円 220,724 円
令和元年度 65,008 円 220,266 円
平成 31 年度 65,008 円 221,504 円
平成 30 年度 64,941 円 221,277 円
平成 29 年度 64,941 円 221,277 円
平成 28 年度 65,008 円 221,504 円
※67 歳以下の新規裁定者(新たに年金をもらい始める方)の年金額の例

公表されている金額から計算すれば、毎月1人あたり「国民年金は満額で約65,000円貰える!厚生年金は標準で約90,000円貰える!」と解答できます。とはいえ、繰り返しになりますが、支給される年金は納めた保険料や期間で受給額が変わりますし、加入していない年金は受給できません。そのため、老後の金銭的な不安を払拭するためには、以下のように「受給額がどのように決まるのか」についても把握しておくのが理想です。

国民年金の計算式
777,800円(2022年度の国民年金の満額)×保険料の納付月数÷480ヶ月
厚生年金の計算式
平成15年3月以前 平均標準報酬月額(平均月収)×7.5÷1,000×平成15年3月以前の加入月数
平成15年4月以後 平均標準報酬額(賞与を含めた平均月収)×5.769÷1,000×平成15年4月以後の加入月数

例えば、国民年金は「毎月納めるだけ」で満額が支給されます。具体的には、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)の間、毎月の納入が必要です。もしも、保険料を納めた期間が半分の20年だった場合は、国民年金の受給額も同じように半分になります。なお、口座振替や金融機関で納める月々の保険料は、令和4年の時点で月額16,590円ですが、この保険料も毎年度見直しが行われ、年度によって金額が変化します。

年金を払わなくても大丈夫?

ここで、「年金とは何か?」についてカンタンに言及をしておきましょう。若い方の中には「なぜ年金を払う理由があるの?」「給料を差し引かれたくない!」と考える方もいます。年金制度とは、いわば「老後やケガ・病気などの際にお金を支給してサポートするためのシステム」です。社会全体で個人を支えるのに欠かせない仕組みを維持するため、月々の保険料が発生します。

日本国内に住まう 20 歳以上 60 歳未満の方は、国民年金への加入が法律で義務付けられています。支払いが滞ると、年金を受給できなくなる可能性があるため、忘れずに納めるようにしてください。

〇この項目のまとめ

  • 年金の受給額は「納めた保険料」や「納めた期間」などで変化する。
  • 国民年金は満額で約65,000円貰える。
  • 厚生年金は標準的な金額で約90,000円貰える。
  • 加入している年金がわかれば、個人や世帯で受給できる年金額も把握しやすくなる。

年金の具体的な計算方法を教えて

年金って結局いくらもらえるの?年金の平均額や計算方法を徹底解説

先に挙げた年金の受給額は、あくまで目安となる金額です。

前項の計算式を使えば、より具体的な受給額を算出できますが「そんな面倒な計算していられない」という方のほうが大半でしょう。計算式が単純な国民年金はともかく、厚生年金などは受給額の算出に骨が折れます。おまけに、働き方改革が浸透した現代では「40年間にわたって仕事や生活環境が変わらない」というケースも稀です。このような事情も相まって、受給額の計算を一層難しいものにしています。計算式を利用した受給額の算出は、とても几帳面な方や将来設計が整っている方、あるいは数学が得意な方でもない限り、あまりおすすめできません。

年金に関する相談は、家計の専門家ことFP(ファイナンシャルプランナー)に依頼することも可能ですが、年金の受給額をもっと楽に計算する方法は存在します。日本年金機構のオフィシャルサイトには、将来の年金額を計算できるシミュレーターが公開されており、画面のクリックだけで年金見込額の試算が可能です。

年金見込額試算 | 日本年金機構

シミュレーターであれば、今後の働き方や老齢年金を受け取る年齢など、細かな条件を指定できます。そのため、終身雇用制が終了して久しい現代でも、正確性のある年金受給額を算出できるのです。原始的な方法で計算するよりもスピーディに試算できるので、「自分や家族の年金額を知りたい」という方は、シミュレーターを利用すると良いでしょう。

〇この項目のまとめ

  • 年金の受給額は計算が複雑で算出がとても難しい。
  • 手軽に受給額の算出をするなら、日本年金機構のシミュレーターがおすすめ。

年金の金額を増やすことはできないの?

ここまで、年金の種類や具体的な算出方法について解説しました。

年金額を試算してみたという方の中には、「計算したけど貰える金額が少ない」「やっぱり老後が不安だ」という方もいるかもしれません。そんな方に向けて、以下では「年金額を増やす方法」を伝授しましょう。

企業が従業員向けに運用する年金に加入する

当コラムで解説した公的年金は、あくまで「国が運用する年金制度」です。私的年金の項で紹介した通り、企業によっては福利厚生として独自の年金制度を設けているケースも少なくありません。加入や受給条件などは企業別に異なるものの、年金額の上乗せに繋がる制度も多く、企業勤めの方におすすめの方法です。すでに加入している厚生年金と合わせて、更なる受給額アップに期待ができます。

個人向けの投資信託や私的年金を活用する

企業勤めの方に加えて、フリーランスや専業主婦などの方に推奨したいのが、個人向けの投資信託や私的年金です。

年金って結局いくらもらえるの?年金の平均額や計算方法を徹底解説

昨今は、NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)など、国民年金・厚生年金に上乗せできる投資信託・私的年金が数多く存在します。細かな解説は割愛しますが、いずれも運用益が非課税となるため、継続的な資産形成に役立つものばかりです。このNISA(ニーサ)の基本情報や加入条件、具体的なメリットなどは、四国銀行の専用ページで詳しく解説しています。「老後に備えて資産形成をしたい!」「将来のために年金額を増やしたい!」という方は、ぜひご参照ください。

この他、年金の受給額をアップさせる方法として、「国民年金や厚生年金の支給開始時期を繰り下げる」という方法も存在します。一般的には65歳から支給される年金ですが、役所などに申請をすれば66歳以降に開始時期を繰り下げることも可能です。詳しい増額の割合は割愛しますが、時期を繰り下げるほど、月に支給される受給額もどんどんアップします。

一見すると「受給額が上がった」と錯覚しがちですが、支給開始時期を繰り下げる方法だと年金の総額自体はほとんど変化しません。いわゆる朝三暮四にすぎない方法のため、総額を底上げして老後に備えるのであれば、先に挙げた企業年金や私的年金の併用が理想です。

〇この項目のまとめ

  • 結論からいえば、年金の金額を増やすことは可能。
  • 企業勤めの方には、会社が従業員向けに運用する年金制度への加入がおすすめ。
  • 継続的な資産形成なら、個人向けの投資信託や私的年金への加入がおすすめ。
  • 支給開始時期を繰り下げる方法だと、年金の総額はあまり変化しない。

「年金を過信しすぎないこと」の重要性

今回は、公的年金の受給額や受給方法、具体的な計算方法などを詳しく解説しました。

年金制度は、老後(またはケガや障がい時)を支える制度として優れたシステムです。一方、年金制度を「過信しすぎないことが大切」という点も留意してください。繰下げ受給の上限年齢引上げなど、年金制度の改正や見直しは絶えず行われています。令和4年の4月から「老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられた」ニュースは、記憶に新しいという方もいるでしょう。

国民の老後を支える国のシステムとはいえ、年金制度には今も昔も不安定な部分が少なくありません。

「受給額はわかったけど、本当に年金は支給されるの?」という疑問を持つ方も多いでしょうが、頻繁に制度が見直されているため、「計算通りの金額が絶対に支給される」とは断言ができません。以上の点を踏まえ、年金と併せて世帯や家族が十分に生活していけるだけの「蓄え」に目を向けることも重要なのです。コラム中で紹介したように、継続的な資産形成に役立つ投資信託や私的年金などを積極的に利用するのをおすすめします。

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