TCFDへの賛同と取組み
近年の地球温暖化による異常気象や自然災害の頻発化・激甚化が、お客さまや当行の事業環境に与える影響の大きさを鑑み、気候変動に係るリスクや機会が当行の経営に与える影響を的確に把握し対策を講じていくため、2021年9月にTCFD 提言への賛同を表明しています。また、TCFDコンソーシアムに加盟しており、情報開示の高度化にも取り組んでいきます。
※TCFDとはTask Force on Climate-related Financial Disclosuresの略。
主要国の中央銀行総裁及び財務大臣からなる金融安定理事会の作業部会で、
投資家に適切な投資判断を促すための、効果的な気候関連財務情報開示を企業へ促している。
ガバナンス
2022年4月、頭取を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、気候変動への対応を含むサステナビリティ全般に関する取組施策の評価や、取り巻く環境変化に対する方向性等について審議し、取締役会に報告、監督を受ける体制を構築しています。
戦略
当行では、サステナビリティ方針において「環境保全への貢献」を掲げ、気候変動対策をはじめとする環境保全への取組みを重要な経営課題と位置付けており、気候変動が当行グループの事業活動・財務内容等に影響を及ぼすリスクと機会の把握を行いました。
なお、当行が認識する主なリスクと機会に関する評価の時間軸として、「短期(5年未満)」「中期(15年程度)」「長期(30年程度)」の期間を用いています。
シナリオ分析
当行では、当行の財務状況における気候変動の影響を具体的に把握するため、移行リスクおよび物理的リスクについて一定のシナリオを用いて分析を行いました。いずれの分析においても、当行財務への影響は限定的であると評価しました。
〈移行リスク〉
移行リスクについては、分析対象として温室効果ガス排出量が比較的高いエネルギーおよび造船・海運セクターを選択しました。分析にあたっては、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオを用いて、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。
〈物理的リスク〉
物理的リスクについては、気候変動に起因する洪水のリスクの影響を分析しました。分析にあたっては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP5-8.5シナリオ(4℃シナリオ)等を用いて、2050年までの当行の与信費用の増加額および当行の固定資産の毀損額を試算しました。
戦略への反映
昨今、さまざまな業種において、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減目標を設定し、取引先に脱炭素化を求める動きがみられ、この要請に応えられない企業はビジネスへの悪影響を受ける懸念があります。
当行では、お客さまにCO2排出量削減への取組みの重要性を理解していただく活動を推進しています。その活動を担う従業者を育成するために「脱炭素アドバイザーベーシック」の資格取得を推奨しており、2024年3月時点の取得者数は674名になっています。
こうした事業活動を通じて、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向け、地域やお取引先のニーズをより深く理解し支援を行うことで、ビジネス機会の創出や気候変動リスクの低減に取り組んでいきます。
なお、当⾏グループは環境保全や地域経済・地域社会に貢献するため、投融資⽅針を定め、環境や⽣物多様性の保全に向けた事業や脱炭素社会の実現に向けた事業などを積極的に⽀援する事業として位置付けています。
投融資方針の詳細はこちらをご覧ください。
与信残高における炭素関連資産の割合
2024年3月末の当行貸出金等に占める炭素関連資産※の割合は38.2%です。
※TCFD 提言における開示対象セクターである「エネルギー( 再生可能発電事業を除く)」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」向けエクスポージャー。リスク管理
当行では、気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクは、当行の事業運営や戦略、財務計画に大きな影響を与える重要なリスクであると認識し、シナリオ分析等により当該リスクを識別・評価しています。今後も、シナリオ分析の高度化を図りながら、「信用リスク」「オペレーショナル・リスク」等を含めた統合的リスク管理の枠組みのなかで適切に管理する態勢を整備していきます。
指標と目標
CO2排出量の削減
【削減目標】
2030年度のCO2排出量を2013年度比50%削減
2050年度のカーボンニュートラル(Scope1、Scope2)
【2023年度実績】
2013年度比53.64%削減
Scope3(事業者の活動に関連する他社の排出(Scope1および2以外))
脱炭素社会の実現に向けて、当行の事業活動により排出するCO2(Scope1、2)に加えて、サプライチェーンにおけるCO2排出量(Scope3)を計測しました。なお、カテゴリ8~14の算定対象はありませんでしたので下表での表示は行っていません。
〈カテゴリ1~14〉
〈カテゴリ15〉
金融機関にとって、Scope3カテゴリ15(投融資先のCO2排出量)は、気候変動に関するリスクと機会を定量的に把握するために重要なものであるとの認識のもと、PCAF スタンダード※1に準拠し、事業所融資先に対する融資について試算を行いました。今後、計測の高度化に向けた検討を進めていきます。
※2 決算期が未到来であるなど、試算に必要なデータの集計ができない投融資先を除いています(カバー率 90.0%)
算定式(投融資先ごとに算定)
投融資先のCO2排出量=排出量※3×(当行の投融資額÷投融資先の資金調達総額)
※4 財務データを基にした推計方法 売上高 ×(当行の投融資額÷投融資先の資金調達総額)× 業種別の排出原単位
※5 今後、算定基準・業種分類・排出原単位の変更などにより、算定結果が大きく変動する可能性があります
データクオリティスコア
PCAF スタンダードでは、排出量算定の品質を評価するために5段階のスコアが設定されています。当行の2023年度の加重平均データクオリティスコアは「3.67」となりました。今後、投融資先から排出量データを収集するなど、スコア改善に取り組んでいきます。
サステナブルファイナンスの推進
累計実行目標:3,000億円以上
対象期間:2023年4月1日から2030年12月31日まで
カーボンニュートラルロードマップ
2002年に策定した環境方針に基づいて、再生可能エネルギーの活用やグリーン購入など、積極的な環境保全活動を行ってきました。今後も環境負荷の低減に努め、「2050年のカーボンニュートラル(Scope1、Scope2)」の達成を目指していきます。
環境方針の詳細はこちらをご覧ください。